研究課題/領域番号 |
18K00002
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
佐山 圭司 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80360965)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロールズ / ヘーゲル / 政治哲学 / 和解 |
研究実績の概要 |
研究最終年度の本年度は、ロールズ-ヘーゲル関係を論じてきた国外の研究者を訪問し、意見交換をする予定であった。しかし、昨年度に続いて、新型コロナ感染症の世界的蔓延により、海外渡航が不可能になったため、実現しなかった。また、新型コロナ感染防止のため、国内のほとんどの大学の図書館が学外者にたいして利用を大幅に制限し、国内移動も制限されていた状況で、文献収集がほとんどできなかった。地方の研究機関に所属する研究代表者は、国内外の図書館で定期的に文献調査・収集を行うことで、研究文献を手に入れてきた。したがって学外の図書館を利用できなかったことは、本研究の遂行上、致命的であった。 こうした状況のなか、研究遂行に十分な文献が手元にあるヘーゲルの研究を進めることにした。研究代表者がここ数年参加している研究会が、本年度は全面的にオンラインで実施され、二つの研究発表「ヤコービとスピノザ論争」と「ヘーゲルのスピノザ受容」を論文としてまとめ、加藤泰史編『スピノザと近代ドイツ 思想史の虚軸』(岩波書店)のなかで公刊することができた。 これら二つの論考は、ロールズ-ヘーゲル関係を直接論じたわけではないが、ヘーゲルの国家論を存在論的に基礎づけているスピノザの実体論とヘーゲル(さらにはヘーゲルのスピノザ解釈の典拠であるヤコービ)との関係を立ち入って論じることで、ロールズが依拠するヘーゲルの和解概念の哲学的源泉を明らかにすることができた。 さらに、これまでの研究成果の一部が、本年度になって日の目を見ることができた。2年前に投稿していたものの、コロナ禍で刊行が遅れていた論文「ジョン・ロールズのマルクス解釈」が、ようやく北海道哲学会『哲学年報』第66号に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、関連文献の調査・収集を前提とした思想史研究であり、文献の調査・収集が、研究遂行に当たって非常に重要である。本年度も昨年度同様に、新型コロナウイルスの世界的蔓延のため、海外渡航や国内移動が不可能になり、研究実施の前提となる文献収集がほとんどできなくなってしまった。これは、研究開始時には、まったく想定していなかった事態であり、現在の状況は、当初の予定より大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、新型コロナ感染状況を注視しながら、国内外の資料調査・収集が可能になれば、これまで予定していた調査を実施し、遅れを取り戻したい。だが、次年度もコロナ禍が収束せず、今後も海外渡航や国内移動が不可能な場合は、与えられた条件の下で遂行可能な形で研究を進めていくしかない。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度も、新型コロナ感染症の世界的蔓延により、海外渡航や国内移動が制限され、予定していた研究者訪問や資料収集のための出張をすべてキャンセルせざるをえなくなったため、次年度使用額が生じた。なお、この予算は、当初予定していた出張等のために使用する予定である。
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