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2020 年度 研究成果報告書

自然改変の倫理学的考察―カント主義的観点からのアプローチ

研究課題

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研究課題/領域番号 18K00018
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01010:哲学および倫理学関連
研究機関下関市立大学

研究代表者

桐原 隆弘  下関市立大学, 経済学部, 教授 (70573450)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード類倫理 / 自己存在可能性 / 不可処分性 / 改変可能性 / 人間性/人類 / 自然/文化二元論
研究成果の概要

ハーバーマスの類倫理構想(「自己存在可能性」のための出生時の生物学的条件の偶然性と不可処分性)はF・G・ユンガーの「不可侵の基体」としての自然観と、自然の改変可能性を主張するクヴァンテの立場はマルクスの「類の自己実現手段」としての自然観と共通する。カントにとって「人間性/人類」(Menschheit)概念は生物的特質ではなく、将来にわたり実現・完成すべき文化的課題であり、この自然/文化二元論は人格自律論と並びハーバーマスの類倫理構想を支える。これに対し、ヘルダーの「言語使用による本能の代替」論は、自然と文化の質的相違と全体連関への別の見方を示し、自然改変論にも新たな展望を開く可能性がある。

自由記述の分野

哲学

研究成果の学術的意義や社会的意義

自然改変の倫理的正当化、およびその限界をめぐる問いに、現代の英米独の論考に即して取り組むという当初計画は、前回科研の延長でユンガー/マルクス比較、さらにヘルダー言語起源論・歴史哲学論に関心を移したため、部分的にしか達し得なかった。とはいえ、現代生命倫理におけるハーバーマスとクヴァンテとの対立点を各々の自然観に即して明確にし、かつ、新たにヘルダーの「本能と理性のトレード・オフ」論という哲学的人間学で受け継がれている思想を俎上に載せたことで、自然と文化の相違、自然的条件の改変可能性(不可能性)についてより深い知見を得ることができたと考える。当初の問いへの明確な回答は今後の課題である。

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公開日: 2022-01-27  

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