理論哲学、実践哲学、そして神学まで、ヴォルフ主義哲学との対決という観点で一貫してカントを研究してきたが、長年にわたってこうした観点で一貫してなされた研究は見当たらない。 また、国内でも若い研究者によるカント神学研究は現われてきているが、神学そのものへの関心からの研究であり、国外を見ても、神学のテクストはやはり神学的関心からのアプローチのものが大半を占める。本研究は、あくまでも人間理解の対称軸として、カントの神学を検討したものであり、その成果は、宗教に特段の関心をもたない人々にとっても十分意義のあるものとなった。
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