最終年度である2021年度は研究全体を通して収集した情報やデータを再確認し、最終分析した。そして、主に成果報告に力を入れた。 まず、2021年8月29日には、お茶の水女子大学ジェンダー研究所との共催でオンライン国際フォーラム『出自を知ることがなぜ重要なのかー提供精子で生まれた人たちの経験と思い」を開催した。オーストラリア、ベルギー、日本の主にDI(提供精子での)出生者4名と、この問題を40年以上も研究してきたカンタベリー大学のケン・ダニエルズ氏を招聘し、出生者にはドナーの匿名性に対する考えや、彼らが関わってきた法改正へ向けた運動の詳細について語ってもらった。またダニエルズ氏には出生者の匿名性の廃止の必要性や出自を知る権利の重要性を専門家の立場から述べてもらった。このフォーラムについては記録集を作成し、関係者らに配布し、またジェンダー研究所のHPでも公開している。 2021年10月9日には、Society for Social Studies of Scienceの年次国際学会(オンライン)でFamily member as gamete donors in Japanというタイトルで報告した。2021年11月7日には、日本医学哲学・倫理学会の「出自を知る権利をめぐるこれまでの議論の経緯と今後の課題」という年次大会シンポジウムで「諸外国の出自を知る権利を保障する法制度」というタイトルで報告し、この内容は論文にまとめ、すでに提出し、学会誌『医学哲学・医学倫理』の次号40号に掲載される予定である。2022年1月9日には、第27回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会で「商業的精子バンクの現状と課題-倫理的側面、ジェンダー的側面、社会的側面から」というタイトルで講演した。 今年度が研究プロジェクトの最終年度であるあめ、研究全体の報告書を作成し、関係者や関係各所へ配布した。
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