研究課題/領域番号 |
18K00036
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
黒川 英徳 金沢大学, GS教育系, 准教授 (30710230)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 論理定項 / 直観主義論理 / 構成の理論 / 直観主義解析学 / informal rigour |
研究実績の概要 |
今年度は、次のような研究をおこなった。 1)直観主義解析学についてのクライゼルの貢献について文献を精査する研究をおこなった。(これはクライゼル、マイヒル、トレルストラ、ヴァン・ダーレン等の1960年代、1970年代の論文の内容を再検討することを含む。)これは本研究の本来の課題の一部であった、直観主義論理の論理定項の意味に関する議論、クライゼルの構成の理論、Squeezing argumentをはじめとするinformal rigourと呼ばれる方法論に関係した研究から派生し、クライゼルのinformal rigourという論理学上の方法論についての研究を深化させるものである。2)以前に行った、クライゼルーグッドマンのパラドックスの再構成(Dean-Kurokawa, 2016)について再検討を行った。(これは或る研究者の質問に答えたものであり、これに関連して「パラドックス」の個別化の仕方についての議論を深めた。なお、これらの研究はまだ出版には繋がっていない。)3)証明論的意味論におけるマイケル・ダメットのstabilityという概念について、共同研究者と(以前行った議論に加えて)さらに議論をおこない、この概念についてこれまで提案されてきた2つの分析について比較を行い、我々の観点からはそのうちの1つが特に有益であるという認識を得た。(これについては研究成果は得られているのだが、執筆、出版に時間が掛かっている。)4)「形式的」とはどのようなことかについて、ゲーデル、テューリングらの研究について調べた。(これもクライゼルのinformal rigourについての研究と関連する。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に続き、パンデミックのため、オンライン授業などの準備に時間を取られ、研究に十分な時間を割くことができなかった。また、同じ理由から海外在住の共同研究者と実際に会って共同研究をする機会をもつことができなかった。(オンラインでは連絡をとることができたが、研究を順調に進めるためにはやはり実際に会って議論を必要があるようである。) またすでに編者に提出した招待論文(80ページ以上ある)の査読に時間がかかっており、出版が遅れている。(これは研究代表者には能力で解決できる問題の範囲を超えている。) 以上のような外的な事情に加え、内容的にも本研究の一部をなすクライゼルのInformal Rigourに関係した研究が当初想定していたのとは異なった方向に拡がったため、短期間で成果を出すことが困難になった。 こうした理由により研究は当初予定していたよりもやや遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の初期に得られていたNested Sequentsを使用した証明論に関する成果を論文の形にする時間がなかったため、本年度中に論文にすることを目指す。また、ダメットの証明論的意味におけるstabilityの概念に関する研究を本年度中に2本の論文にすることを目指す。クライゼルの直観主義解析学についての貢献とそのinformal rigourという論理学方法論的概念との関わりに関する研究をさらに進めることを目指す。(最後のものは、論理定項の証明論的特徴づけを目標とする本研究本来の観点からすると派生的な性格をもつが、直観主義論理の基礎と深く関わるものである。)
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックにより、これまで使用することになっていた旅費を全く使用することができなかったため、2022年度に使用すべき次年度使用額が生じた。この予算については、2022年度中に旅費として使用することを計画している。
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