研究課題
基盤研究(C)
色は直感的には全くリアルであるにもかかわらず、物体や光がもつ物理的な性質ではない。また、色を感じるという経験をもたらしている我々の脳の中にも、色を見いだすことはできない。そのため、色はどうすれば科学的世界像のうちに位置づけられるのかということが、長らく問題となっていた。本研究はこの問題の解決に資することを目指したものであり、物理主義的なアプローチを探りつつも、昨今の物心二元論の展開をも視野に収めることで、包括的な色の存在論的理論への一つのステップをなしている。
哲学
色を感じるという身近な現象が実は謎に満ちたものであることを示すとともに、科学的な世界の捉え方には不備や限界があると安易に決めつけることなく、謎を解く手だてをあちこちに探るという、世界を理解することに対する冷静な姿勢を提示した点に、学術的意義と社会的意義を認められうるものと思われる。