研究課題/領域番号 |
18K00040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
児玉 聡 京都大学, 文学研究科, 准教授 (80372366)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 進化倫理学 / 功利主義 / 進化論 / 倫理思想史 / 科学史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「20世紀における進化思想が倫理学に及ぼした影響はどのようなものか。また、現代において進化論と倫理学のあるべき関係はどのようなものか」という問いについて研究を行ない、他分野の研究者にもアクセス可能な基本文献を作成することである。その際、現代の進化論と倫理学の思想的関係を、19世紀以降の進化論の発展と倫理思想史の流れに裏付けられた形で究明することを目指す。H30年度は以下の研究を中心に行った。 (1)20世紀における進化論の理論的進展について文献を調査、収集し、R.ドーキンスの『利他的な遺伝子』や、ケアの倫理への進化論の影響を検討したNel Noddingsの'The Maternal Factor'の精読を行った。その際、適宜大学院生による助力を得た。 (2)社会生物学論争についてサーベイを行い、E.O.ウィルソンの『社会生物学』を中心に、これに関連するジョン・マッキー、メアリ・ミジリー、ピーター・シンガーらの哲学者の思想および関連する著作を検討した。またその成果を京都生命倫理研究会で報告した。 (3)19世紀に進化倫理学の学説を提唱したH.スペンサーの思想について「スペンサーの進化倫理学の検討」と題し論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
20世紀における進化論と進化倫理学に関連する文献を収集し、精読を進めている。また、学会での報告や論文の発表も行っており、おおむね研究は順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの研究を進めるとともに、以下の研究を実施する。 1 科学哲学者を中心とする「進化論的反実在論」についての論争を整理する。道徳の説明としての進化論が、メタ倫理学における実在論と競合する理論かどうかを近年の動向を踏まえて検討する。 2 シンガーやジョシュア・グリーンら功利主義者による進化論を用いたほかの規範理論の批判「暴露論証」の検討を行う。 以上の研究について、この分野に詳しいオックスフォード大学のガイ・カヘイン教授と意見交換を行う予定である。
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