本研究は、「20世紀における進化思想が倫理学に及ぼした影響、及び、現代において進化論と倫理学のあるべき関係」をめぐる問いについて研究するものである。 研究実施期間を通じて、R.ドーキンスの『利他的な遺伝子』の精読を行い、進化倫理学の祖であるH. スペンサーの学説を詳細に検討した。また、社会生物学論争について、E.O.ウィルソンの『社会生物学』を中心に関係著作を検討した。その結果、「進化倫理的反実在論」というメタ倫理学上の立場や、「暴露論証」と呼ばれる議論の再検討の必要性を明らかにした。さらに、いわゆる「ヒューマニズム運動」の哲学的分析が、進化論と倫理学の関係を考える際に重要であると結論した。
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