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2021 年度 実施状況報告書

生殖倫理における徳倫理学的アプローチの研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00043
研究機関宮崎大学

研究代表者

柏葉 武秀  宮崎大学, 教育学部, 教授 (90322776)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード倫理学 / ケアの倫理
研究実績の概要

本年度は、本来であれば最終年度となるはずであった。しかしながら、研究の著しい停滞の故に、本年度も昨年度に引き続きParental partiality概念を軸に据えた研究を継続している。それゆえに、研究計画に記載した「新アリストテレス主義徳倫理学」への目配りはほぼ不可能であった。本年度はケアの倫理学者・政治哲学者Kittayの出生前診断批判の検討に着手している。Kittayは障害者権利擁護運動に親和的な研究者、たとえばVehmas and Shakespeare(2014)から、その相互依存的人間観を高く評価されている。すなわち、自律した個人が形成する互恵関係を重視するリベラリズムに対抗する理論が障害者の生を正当に扱いえないとの障害者権利擁護運動の不満を解消してくれるのが、Kittayの仕事であると見込まれているのである。
Kittay(2005)はBrock(2005)の非同一性問題に関する議論を援用した選択的中絶正当化論を、障害者差別表出論に基づいて批判してる。Brock(2005)は非同一性問題の構図に則り障害児選択的中絶の道徳的理由を構成している。それに対してKittayはこの主張に対して障害者差別表出論でもって論難する。注目したいのは、この障害者差別表出論とは完全に独立した反論、しかもParental partialityに極めて近い論理を組み込んでいることである。このKittayの議論を参照することで、前回科研費研究で検証してきた障害者権利擁護運動の理論的柱である障害者差別表出論とParental partialityとの関係を統一的に論じる可能性が拓かれてきたと思われる。延長した研究期間最終年度にお向けて、障害者権利擁護運動、ケアの倫理、Parental partialityを総合的に見渡す研究への展望がみえてきたところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症拡大につき、対応策をとる必要に迫られた。昨年度同様に教育面・大学運営面に注力せざるを得ず、研究はほとんど進まなかった。

今後の研究の推進方策

4年間の研究計画全体を見直し、研究期間を一年延長した。研究計画の順序にとらわれることなく、発表可能になりしだい論文を投稿するあるいは研究発表にエントリーするなどしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症拡大につき、国内外出張が完全に不可能となった。そのため、計上して生きた旅費をまったく支出していない。

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公開日: 2022-12-28  

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