研究課題/領域番号 |
18K00044
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
中村 隆文 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (40466727)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 共感 / 反感 / 利他性 / 競争 / ヒューム思想 / 行動経済学 |
研究実績の概要 |
今年度は、研究課題着手の初年度ということで、資料収集および情報収集をメインに行った。資料収集は文献調査、情報収集は学会参加および研究会開催などを通じて行った。 まず6月29日に釧路公立大学にて、The Meaning of Sympathy and Antipathyというテーマで合同研究会を開催した。研究代表者である中村隆文(釧路公立大学准教授)による基調講演"Moral Sentimentalism and Liberalism"と、研究連携者である林良平(東海大学講師)による研究報告"Experiments of Social Preference: Altruism, Reciprocity, and Fairness"を行ったのち、スマートフォンを使った経済実験を参加者たちと行うことで、人々の共感や反感というものが利他的・利己的行動と関連していることを検証した。 その後の7月下旬には、ブタペストで開催されたHume Conference 2018にて出席し、国際ヒューム学会においてトレンドとなっているトピックが「共感」とどのように関連しているのかを調査した。ヒュームやアダム・スミスがその必要性を論じた共感メカニズムであるが、彼らが活躍した18世紀中盤から後半にかけてはその限界も意識されはじめ、それにヒュームも気付いており、だからこそそれを補正・補強する政治システムを模索しているとのではないか、という議論が活発になされていた。 その後、関連書籍を収集・分析しながら、今年度得られた知見を研究成果として論文にまとめる作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
古典文献の収集と確認は計画どおりすすんでいる。また、各種学会でトレンドとなっているトピックと本研究課題との関連を調べることもおおむねできたといえる。勤務先の変更によって11月以降ドタバタしていたので、本年度前半の研究成果の論文化は完成に至らず、次年度以降となってしまったという反省点はあるものの、計画そのものに大きな遅れはみあたらないため、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果をもとにした論文を完成し、できれば今年度中に英語化をしてネイティヴチェックをすませ、さらにはどこかで報告もしくは投稿したいと考えている。 また、本研究の方向性についてコメントや批判的意見をもらいたいので、国内外の学会に参加して他の研究者と議論をしたり、研究会を積極的に開催したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、日本国内において「共感」に関するシンポジウムやワークショップがあまり見受けられなかったこと、そして諸般の事情により数少ないそれらに参加できなかったことがあった。また、研究成果をまとめたものをネイティヴチェックにまわすことができず、そ次年度以降にそれが持ち越されたということが大きな理由である。
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