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2018 年度 実施状況報告書

類似性とパターン認識に基づく言語哲学の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K00045
研究機関首都大学東京

研究代表者

松阪 陽一  首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (50244398)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード哲学 / 言語哲学 / 意味論 / 存在論
研究実績の概要

本研究の目的は、類似性に基づくパターン認識の概念を用いて、言語哲学上の重要な諸概念を再構築することにある。その際、(1)類似性とパターン認識の概念を基にして、メタ意味論(Metasemantics) を再構築すること、(2)パターン認識の概念に基づいて、語の存在論を再構築すること、のふたつをその具体的な目標として掲げた。
本年度は、この(2)の課題を遂行するための基礎研究として、パターン概念をその存在論的側面に焦点をあてて考察することに時間を費やした。パターンという概念は古代ギリシャのイデアの概念にその源をもつと言えるだろうが、現代でも、Daniel Dennettの"Real Patterns"(1991)を始め、その哲学的重要性を論じた文献が存在するので、そうした文献の調査を進めた。
他方、パターン概念と密接に関わる概念として、「構造」の概念がある。構造の概念は、たとえば数学的な構造主義において、明示的に用いられている一方で、現代の情報理論では、データの示す規則性と密接に関連する形で研究されている。本研究のための基礎として、数学における構造主義(ブルバキ等による構造主義ではなく、むしろMichael ResnikやCharles Parsonsらによる意味での構造主義)において、この概念がどのように用いられているのかを調査し、また現代の情報理論において、それが特にKolmogorov複雑度との関連に果たす役割を調査した。
本年度の研究は、以上のような意味で多分に予備的な意味をもつものであったが、それでもそれぞれの調査は今後の研究に際して有益な指針を与えてくれるものであった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度はパターン概念の基礎的研究を行うことが当初からの予定であったため、本年度は概ね予測した通りに研究が進展したと言える。

今後の研究の推進方策

本研究の最終的な目標は、(1)類似性とパターン認識の概念を基にして、メタ意味論(Metasemantics) を再構築すること、(2)パターン認識の概念に基づいて、語の存在論を再構築すること、のふたつである。来年度以降研究をどのように推進するかについて、このそれぞれについて以下のような計画を立てている。
(1)については、すでに研究代表者が出版した論文で、固有名と自然種名に限定し、パターン認識の概念を用いてそのメタ意味論がどのようにして構築できるのかを素描した。本研究では、そこで示されたメタ意味論を発展させることで、この研究を推進することを第一の目標としたい。更に、動詞や形容詞といった語のメタ意味論にも、本研究の手法は適用できるものと思われる。第二の目標として、このような語の意味がどのようして定まるのかを、本研究の立場から明らかにする。
(2)については、本年度の研究から、存在者としてのパターンという概念が少し明確になりつつある。本年度も継続してこの概念の解明に取りかかることで、語の存在論という課題に取り組むことを考えている。その際鍵となるのは、やはりパターン認識の概念である。れわれによる語の使用を可能にしているのは、音声、あるいは視覚情報におけるパターンの認識と再生産の能力であり、そうした能力はある一群の特徴を備えた物理現象(音、形) に対する指向性を有していると考えられるからである。

次年度使用額が生じた理由

本年度購入する予定であった図書の出版が遅れたため。

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公開日: 2019-12-27  

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