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2019 年度 実施状況報告書

類似性とパターン認識に基づく言語哲学の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K00045
研究機関首都大学東京

研究代表者

松阪 陽一  首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (50244398)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード哲学 / 言語哲学 / 意味論 / 存在論
研究実績の概要

本研究の目的は、パターン概念そのものの分析と共に、それを用いて、1.メタ意味論(Metasemantics)を再構築するこ、 2.、語の存在論を再構築することにある。本年度は特に1のメタ意味論に関する研究を行った。パターン概念を中心としたメタ意味論を構築するため、本年度は、特にグライスの"Meaning" (1957)で提出された自然的意味(natural meaning)の概念の分析を行った。この概念に関しては、ドレツキのExplaining Behavior (1988)による自然記号の概念が有名であり、またミリカンのVarieties of Meaning (2006)におけるその批判的検討もまた、よく知られている。しかし、ドレツキの自然記号概念は確率1を要求することで有名であり、ミリカンはその点を批判するものの、彼女の見解の中にも自然記号が要求する確率という概念は役割を果たしていない。

他方、本研究の遂行過程で明らかになってきたことであるが、パターン概念は、その数学的構造の理解には確率の概念を何らかの形で含まざるを得ない。(いわゆるアルゴリズム的情報理論では確率の概念は主要な道具としては登場しないものの、結局はプログラム長と対応する形で確率が登場する。)

こうしたことから、いかにして自然記号、あるいは自然的意味と確率の概念が関係するのかを、ドレツキやミリカンのアプローチとは異なる仕方で探求した。その成果は、本年度中には発表の機会を得られなかったものの、来年度には何らかの形で公表したい。また語の存在論に関しても、語のタイプとトークンの関係について考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

個人で行う研究に関してはある程度順調に進んだものと考えているが、今年の初頭から世界的に流行し始めた新型コロナウィルスの影響で、予定していた海外出張が計画の段階で取りやめになり、また、年度末に予定していた、国内の研究者を集めての研究合宿も中止せざるを得なくなった。このような事情により、国内・海外の研究者から得られると期待していたフィードバックを得る機会を失い、研究計画の遂行はやや遅れているという状況である。

今後の研究の推進方策

今後も本年度の研究を引き続いて、メタ意味論に関する研究を遂行する。自然記号に関してはある程度の見通しを得られたと考えているので、今後は、原始的な生物の用いる記号、例えばミツバチのダンスや、ある程度高度な生物の用いる記号に、上で得れた自然記号の概念を拡張して当てはめることを試みたい。さらに、本研究の主要課題である、人間の用いる自然言語の各表現がいかにしてその意味を獲得するのかという問題を、この観点から再考する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、年度末に海外での研究旅行と国内での研究集会を計画していたものの、新型コロナウィルスの世界的流行の影響で、その両方を計画段階で中止せざるを得なくなった。そのため、予定していた旅費をまったく使用できなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。
来年度は本年度に果たせなかった海外出張と国内研究合宿をできるだけ早い段階で行い、やや遅れている研究計画を進めたい。

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公開日: 2021-01-27  

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