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2020 年度 実施状況報告書

類似性とパターン認識に基づく言語哲学の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K00045
研究機関東京都立大学

研究代表者

松阪 陽一  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (50244398)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード哲学 / 言語哲学 / 意味論 / 存在論
研究実績の概要

本研究の目的は、パターン概念そのものの分析と共に、それを用いて、1.メタ意味論(Metasemantics)を再構築すること、 2.、語の存在論を再構築することにある。本年度はのメタ意味論に関しては、昨年度から引き続いて自然記号と慣習的記号に関する自然主義的アプローチを研究した。自然の概念に関しては、ドレツキのExplaining Behavior (1988)による自然記号の概念が有名であり、またミリカンのVarieties of Meaning (2006)におけるその批判的検討もまた、よく知られている。しかし、ドレツキの自然記号概念は条件付き確率1を要求することで有名であり、ミリカンはその点を批判するものの、彼女の見解の中にも自然記号が要求する確率という概念は役割を果たしていない。本年度は、Godfrey-Smithによるドレツキ批判や、自然記号が条件付き確率1を要求しない彼のSignal Detection theory に基づくモデルが本研究に対してもつ意義を考察した。

また、1と2に同時に関係する問題として、本年度は空名(empty names)の意味論とその存在論についても考察した。空名とはそもそも指示対象をもたない名前(たとえば「ハムレット」や「バルカン」)であるため、その意味論的機能と共に、それが否定的存在文(「ハムレットは存在しない」)や信念文(「太郎はハムレットがイギリスの王子あると信じている」)等に現れるとき、どのような意味を持つのかに関して多くの謎を提供する。本年度は、主にKripkeがReference and Existence (2013)で提示した一連の考察と問題提起を手がかりにして、本研究との関わりについて考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

個人で行う研究に関してはある程度順調に進んだものと考えているが、昨年度の初頭から世界的に流行し始めた新型コロナウィルスの影響で、昨年度は予定していた海外出張が計画の段階で取りやめになり、また、年度末に予定していた、国内の研究者を集めての研究合宿も中止せざるを得なくなった。今年度にその遅れを取り戻すべくさまざまな計画を立てたが、新型コロナウィルスの感染状況は改善せず、そのどれもが実現しなかった。このような事情により、国内・海外の研究者から得られると期待していたフィードバックを得る機会を失い、研究計画の遂行は遅れているという状況である。

今後の研究の推進方策

今後も本年度の研究を引き続いて、メタ意味論に関する研究を中心に遂行する。2021年度の計画としては、主に上で言及した空名の意味論・メタ意味論に関する研究を更に遂行したいと考えている。

更に、新型コロナウィルスに関する状況もワクチンの普及で改善することが期待されるので、過去2年間行えなかった海外出張等も行いたい。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、海外での研究旅行と国内での研究集会を計画していたものの、新型コロナウィルスの世界的流行の影響で、その両方を計画段階で中止せざるを得なくなった。そのため、予定していた旅費をまったく使用できなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。
来年度は本年度に果たせなかった海外出張と国内研究合宿をできるだけ早い段階で行い、やや遅れている研究計画を進めたい。

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公開日: 2021-12-27  

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