研究課題
基盤研究(C)
生命維持に有効な医療の利用の是非に関して①文献レビュー、②論文執筆、③書評執筆を行った。①文献レビューでは、緩和ケアの倫理に関する最近の文献も収集・精読し、論点を整理した。またその内容に検討を加えて、②成果の一部を論文にまとめた。昨年度中に論文2本を出版し、来年度にも1本出版(書籍の分担執筆)が決定している。加えて、現在投稿論文を準備中である。また③依頼を受けて、3冊の書籍(主題はそれぞれナチスドイツの安楽死計画、京都ALS嘱託殺人事件、生体臓器移植)に関する書評を執筆した。
倫理学
生命維持に必要な医療の見送りの是非は、近年、国内外で社会問題化している。それが容認できる範囲とその根拠について、これ以上生きたくないという患者の意向、苦痛から解放されることにある患者の利益、延命治療にかかる医療費の高騰、人命の価値、高齢者や機能障害者などの社会的弱者にかかるリスク、行為主体としての医師の意図(生命を短縮するつもりがあるかどうか)や作為性(生命短縮に積極的に関わっているかどうか)など、考慮する必要のある論点を整理し、考察した。