研究課題/領域番号 |
18K00052
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研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北野 孝志 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (20390461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 技術評価 / グローバルTA / 技術哲学 / ケアロボット / HRI / ぬくもり |
研究実績の概要 |
ドイツ・カールスルーエでの在外研究が延期になり、当年度中の渡航に向けて準備を続けていたが、最終的に在外研究を中止せざるを得なくなってしまった。そのことにより、ドイツで実施する予定であった研究が予定通りには進まず、国内でできる、それも新型コロナウイルスの感染状況に配慮した研究にとどまった。 一方国内では、これまでの研究成果に基づき、オンラインで開催された応用哲学会で「ロボットの『身体性』と『ぬくもり』―ケアロボットの技術評価からの一考察」と題した研究発表をおこなった。そこでは、ケアロボットの技術評価の観点から、日本と他国(特にドイツなどの欧米)とのロボットに関する考え方の文化的な違いに焦点をあて、特に日本のケアロボットに関して他国にはあまり見られない「身体性」の特徴、いわゆる「ぬくもり」といった特徴が見いだされることについてその意義を考察した。また、この発表に関連して、金沢工業大学・科学技術応用倫理研究所主催「科学技術倫理セミナー」に招かれ、オンラインの形で「グローバルTAに向けて─ケアロボットの技術評価を参考にしつつ─」と題した発表を行った。ここでは、ケアロボットの技術評価を参考にしながら、特にグローバルTAの文脈に引き寄せて、科学技術の持つ越境性(普遍性)と文化的差異を哲学的にどのように扱っていけばいいのか研究の現状と今後の展望について論じた。さらに、オンラインで開催された名古屋大学哲学会において、「現象学と技術哲学―技術評価の哲学の可能性」と題した発表を行い、これまでの研究を振り返りつつ、技術評価の哲学の持つ可能性について検討した。 また、技術評価の哲学と関連づける形でロボカップに関する技術評価を論じた「技術哲学とロボカップ」という研究論文を発表した。 以上のように、研究は必ずしも順調に進んだとは言えないものの、国内でできる研究を通して着実に成果を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染状況の影響により、特にドイツで予定していた研究計画を実行することができず、国内でも研究会などを開催することができなかった。そのため、入手した内外の資料に関して国内でできる研究やその成果の発表にとどまった。学会発表などに関しても、オンラインで実施されたため、予算を使用することもほとんどなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染状況にもよるが、すでに学会発表も予定しており、今後も論文等成果として発表していく予定である。また、状況が許せば、ドイツへの渡航・滞在も行い、前年度までに予定していた研究を進める。一方、ドイツに渡航できない間は、国内での研究や交流を充実させ、研究成果としてまとめる努力をする。 研究を遂行する上での課題は、ドイツに滞在して前年度までに予定していた研究を進めることができるかどうかといった点になるが、それが難しい場合には国内での研究に重点を置いて、関連する研究者との交流から足りない部分を少しでも補うことで研究結果として満足させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染状況により、学会発表、ドイツ渡航・滞在等全てにわたって計画変更を余儀なくされ、計画通りに予算を使用することができなかった。 前年度同様、グローバルTAという取り組みと関連して、ドイツ等国際的な共同研究を充実させることができるように努めるが、一方で国内においても様々な交流を通して研究成果の発表などをしていき、さらなる共同研究へのきっかけにしたい。
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