研究課題/領域番号 |
18K00055
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
志田 泰盛 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60587591)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 再認 / 直観 / 永遠性 |
研究実績の概要 |
本研究は、先行する科学研究費課題(課題番号: 26770022、平成26-30年度)に内容的に接続するものであり、古典インドの哲学作品Prakaranapancikaの中、音声の永遠性の論証と刹那滅論の批判といった内容を主題とする第9章および第10章の校訂・翻訳・写本系統推定・内容分析を主題とするものである。 今年度は、まず、2018年7月にヴァンクーヴァーで開催された第17回国際サンスクリット学会において"Editorial Notes on the Ninth Chapter of the Prakaranapancika"という題目で、当該作品第9章について校合済の、3種の先行刊本と8種の写本について、それぞれの資料の性格分析と資料間の関係に関する新知見を発表し、また、特定の箇所における異読生成の方向性に関する仮説提示に基づき、テキスト伝承に関する推定を行った。 また、2018年6月に上海交通大学において開催された「科学史与科学文化研究院2018夏至会議」において、2019年3月に東洋文庫において開催された「インドの叡智展ミュージアム講演会」において、それぞれ、本研究課題の成果を含む講演を行った。 また、2018年9月に、オーストリア科学アカデミーのPatrick McAllister研究員を招聘し、情報学の視点から、サンスクリット文献の古典時代における再利用(=様々なスタイルの引用)の様式と、引用情報等のメタデータのアーカイブの方法についての講演会を主催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題に内容的に接続する、先行研究課題(課題番号: 26770022、平成26ー30年度)の成果も踏まえて、古典インドの哲学作品Prakaranapancikaの中、第9章の校訂・翻訳・写本系統推定及び内容分析が順調に着実に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
Prakaranapancikaの第9章については、当初の予定では、平成30年度中に3種の先行刊本と10種の写本の校合を完了する予定であったが、難読写本の存在もあり、マラヤラム文字の2種の写本の校合が残されている。今後は、まず残る2本についての校合を優先し、入手済の資料全ての校合の完了と、それを踏まえた校訂テキストの公開を目指す。その校訂テキストは、翻訳や内容分析に関する成果公開の基礎となるとともに、第10章の校訂研究の方法手順の微修正といったフィードバック効果が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年7月のヴァンクーヴァーにおける国際サンスクリット学会における成果発表の旅費を、本科研費にて賄う予定であったが、先行科研費(課題番号: 26770022)の繰越により賄うことができたため。次年度使用額が発生した。 未使用額については、写本の解読に用いるラップトップPCの購入、及び、解読のための基礎作業を委託する学生の人件費等に使用する予定である。
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