研究課題
古インド・アーリヤ語(広義の「サンスクリット語」)の動詞組織について,具体的語形と用例を収集し,活用組織を確定し,語形成とその背景にある原理,機能を厳密に分析し,歴史的展開を跡づけて記述することを目標とした。ヴェーダ語から古典サンスクリットに至る記述文法と歴史文法とを兼ね備え,文献学的研究のための参考書としても役立つ動詞形態論の記述の完成を目指した。インド・ヨーロッパ祖語,インド・イラン祖語に遡って各形態の起源と改変とを歴史的に分析して跡づけ,他方,必要に応じて,パーリ語を始めとする中期インドアーリヤ語への展開にも留意した。さらに,副詞,前置詞,間投詞等の不変化詞をも合わせて扱い,先行の研究計画において完成した名詞,数詞,代名詞に関する部分と合わせ,古インド・アーリヤ語形態論の出版を目指す。類書が存在しない現状から,インド・ヨーロッパ語比較言語学の一到達点を紹介する入門書ともなるよう心懸けた。昨年度までに,予定していた動詞と副詞,前置詞,間投詞等不変化詞群とに関して,一通りの記述を終えた。最終年度に当たる本年度は,それらを一層完璧なものとし,全体を統一し,術語の確定,二次文献への言及を補う作業に力を注いだ。その結果,所期の目標である原稿を完成することができたと信ずる。現在,出版に向けて,完成原稿を数人の若い同僚に送り,検討を依頼している。目下,内容が極度に専門的であるため,インド・ヨーロッパ語族,インド・イラン語派,インド・アーリヤ語とそれらの文化について,導入の役割を果たす概観,紹介のような章を付け加えられたらと計画している。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件)
Syntaktos. Studien zur historischen Syntax, Pragmatik und Etymologie der indogermanischen Sprachen. Gedenkschrift fuer Heinrich Hettrich
巻: - ページ: 15pp.
Festschrift Mislav Jezic
巻: - ページ: 23pp.