研究課題/領域番号 |
18K00067
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
引田 弘道 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00192287)
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研究分担者 |
大羽 恵美 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 客員研究員 (50707685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アヴァダーナ / 仏教説話 / クシェーメーンドラ / 仏教説話図 |
研究実績の概要 |
本研究はカシミールに広まった有部系のアヴァダーナ文献と、東南アジアで写本が発見されつつあるパンニャーサ・ジャータカという文献群を核としながら、インド北部からチベットや中国の雲南地方を経て東南アジアに至るまで、各地に残る遺跡などを参照しつつ、仏伝文学が如何に広まっていったかを解明する。本年度は『アヴァダーナ・カルパラター』のうち、第29章「カーシスンダラ物語」と第30章「黄金の鹿物語」を翻訳し発表した。「カーシスンダラ物語」は漢訳『根本説一切有部毘奈耶破僧事』、梵文SaGghabhedavastu、同蔵訳の並行話を参照し、内容が近似しているのを確認した。「黄金の鹿物語」はパーリ『ジャータカ』ほか一篇、梵文『ジャータカ・マーラー』、漢訳『六度集経』ほか四篇、梵文SaGghabhedavastu、同蔵訳の並行話を参照し、『根本説一切有部毘奈耶破僧事』に内容が最も近いことを確認した。 研究分担者は『アヴァダーナ・カルパラター』を典拠とした絵画の作品例の同定に取り組み、邦訳とともに発表した。本文献はチベットにおいて広く受け入れられ、文学や芸術に多大な影響を与えたことは従来から指摘されていたが、これまで未比定であった現存作例が判明するにつれ、インド北部とチベット、中国においても流布したことが解明されつつある。 研究協力者はタイにおいて現地調査を行い、パンニャーサ・ジャータカの写本資料を収集した。バンコクにおいて複数の寺院の壁画についても調査を行い、仏伝図やパンニャーサ・ジャータカに関わる壁画の作例を確認し写真資料として収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画通りに推進する。次年度でも『アヴァダーナ・カルパラター』の邦訳を行い、関連する類話を解読し発表する。同時に本文献に関わる文献や芸術作品の資料収集をすすめ、本文献や典拠となった文献の流布した地域について考察し、『パンニャーサ・ジャータカ』とどのように関連するか解明する。次年度は中間評価としてこれまでの研究成果を研究会を開催して発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の予算に残額が発生したため,次年度に使用することにした。次年度は資料収集のための国内の旅費,データベース作成のためのメモリやハードディスクなどの消耗品費,成果発表のための印刷代を予定している。残額はその一部として使用する予定である。
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