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2018 年度 実施状況報告書

近代日本の仏教者によるアジア留学・探検に関する基礎資料の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00072
研究機関高野山大学

研究代表者

奥山 直司  高野山大学, 文学部, 教授(移行) (50177193)

研究分担者 三宅 伸一郎  大谷大学, 文学部, 教授 (00367921)
菊谷 竜太  京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50526671)
高本 康子  北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 地域比較共同研究員 (90431543)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードセイロン・インド留学 / チベット探検 / 釈興然 / 善連法彦 / 能海寛 / 田島隆純
研究実績の概要

本研究の目的のために各地に所在する関係資料をAセイロン・インド留学関係とBチベット探検関係の二群に分け、それぞれに属する資料について次の四段階で研究を実施する計画を立てた。(1)調査し、デジタル化して記録・収集する、(2)デジタル化された資料を整理し、文献の翻刻を含む研究を行う、(3)データベースの構築を進め、順次発信と情報公開を行う、(4)他の資料と比較しつつ資料の分析を進め、近代日本の仏教者たちによる南アジア、中央アジアへの留学・探検行の意義を明らかにする。以上に従って平成30年度に実施した研究の実績を以下に略述する。
Aセイロン・インド留学関係では、当該年度より前の予備調査で既に上記(1)を終えていた資料について(2)を実施した。すなわち、釈興然関係資料(横浜市三会寺所蔵)中の「釈雲照大和上書翰集」と善連法彦関係資料(福井市仏照寺所蔵)中の二つの手記、『土耳古行紀事』と『英仏行』の研究を進めた。これらの文献は、それぞれの資料群において枢要な位置を占めるものであり、その解明は本研究の目的にとって極めて重要である。このうち善連の二つの手記については、研究代表者がさらに上記(4)を進め、善連の留学とその意義に関する考察を論文にまとめた。
Bチベット探検関係では、研究実施計画に挙げていた二つの関係資料、すなわち能海寛関係資料(浜田市浄蓮寺所蔵、浜田市金城町歴史民俗資料館寄託)と田島隆純関係資料(東京都正真寺所蔵)の両方について(1)(2)を実施した。その結果、能海寛関係資料に含まれるチベット語文献と仏像・仏具の全点、及び田島隆純関係資料全点(すべてチベット語文献)のデジタル化と整理を完了した。そのデータは研究代表者から分担者に配布され、(2)がさらに進められている。これらは実質的に未公開の資料であり、その研究のための資料的基盤が確立された点に今回の調査研究の意義が認められる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先の研究実績の概要で述べたように、本研究は、Aセイロン・インド留学関係とBチベット探検関係の双方とも概ね順調に進んでいる。ただし、Bに属する田島隆純関係資料に関して、所蔵者との交渉が進み、調査と撮影の許可を得ることができたので、この機会を逸しないために、次年度に予定していた同資料の調査とデジタル化を平成30年度中に実施した。その影響で、平成30年度に予定していたA所属の関係資料の調査研究うち、小泉了諦関係資料(鯖江市法林寺所蔵)、朝倉了昌関係資料(福井市瑞厳寺、金沢市長徳寺所蔵)、間島與喜関係資料(上越市間島親族所蔵)のそれは、次年度に持ち越しとなった。しかし、この順序の変更は本研究全体の進捗に影響を与えるものではない。

今後の研究の推進方策

(1)平成30年度に実施できなかった小泉了諦、朝倉了昌、間島與喜関係資料の調査研究を実施すると共に、東温譲関係資料(宇城市円光寺所蔵)、長谷部隆諦関係資料(高野山霊宝館所蔵)の調査研究を進める。
(2)専用ウェブページの運用を始める。
(3)データベースの構築を進める。
(4)新たな研究対象として河口慧海関係資料を視野に入れる。河口慧海関係資料は日本各地の大学、図書館、博物館、寺院、個人宅に所在する。その中には既に調査研究が進んでいるものもあれば、未調査で概要すらつかめないものもある。本研究では後者に的を絞り、可能なものから調査研究に着手する。

次年度使用額が生じた理由

資料のデジタル化の経費(2回分)等として1,000,000円を計上していたが、写真のコマ数の関係で、予想していたよりも少額の使用で目的が達成された。旅費として550,000円を計上して、研究代表者・分担者に配分したが、分担者分の一部が使用されなかった。物品費として50,000円を計上していたが、当該年度は使用を見送り、代表者の旅費の一部に当てた。以上の理由によって、157,833円の次年度使用額が生じた。これについては、翌年度分として請求した助成金900,000円と合わせて有効活用を図りたい。具体的には、上記の次年度使用額はすべて旅費に加算し、研究代表者・分担者に配分する計画である。これは資料調査のための出張及び研究代表者・分担者による会合・打合せを強化するための措置である。他の費目は交付申請書に書いてある通りであり、これによって予定の研究が十分に遂行できる見通しである。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2020 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 「能海寛を学ぶ」から「能海寛に学ぶ」へ2019

    • 著者名/発表者名
      奥山直司
    • 雑誌名

      (東洋大学)アジア文化研究所研究年報

      巻: 53 ページ: 184-187

  • [雑誌論文] 「能海」召喚―近現代日本と「大陸」―2019

    • 著者名/発表者名
      高本康子
    • 雑誌名

      石峰

      巻: 24 ページ: 36-43

  • [学会発表] インド密教における「完全なる悲愍」2019

    • 著者名/発表者名
      菊谷竜太
    • 学会等名
      上智大学イスラーム研究センター講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] インド密教における灌頂次第とタントラ階梯2019

    • 著者名/発表者名
      菊谷竜太
    • 学会等名
      ブラフマニズムとヒンドゥイズム第6回シンポジウム「古代・中世インドの王権と宗教」
  • [学会発表] 高野山大秦景教流行中国碑の由来と特徴2018

    • 著者名/発表者名
      奥山直司
    • 学会等名
      唐長安1400年国際学術検討会
    • 国際学会
  • [学会発表] 以密教為中心的日中文化交流―回顧与展望2018

    • 著者名/発表者名
      奥山直司
    • 学会等名
      中国宗教文化高層論壇
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] A Brief Study on the Bon-po Sutra, g.Yung drung tshe dpag tu med pa zhes bya ba theg pa chen po’i mdo2018

    • 著者名/発表者名
      三宅伸一郎
    • 学会等名
      The 2nd International Symposium on Tibetan and Himalayan Studies
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] インド密教における術語の収集にあたって―アバヤーカラグプタの『アームナーヤマンジャリー』とプトゥンの『サンプタ広注』について2018

    • 著者名/発表者名
      菊谷竜太
    • 学会等名
      平成30年度バウッダコーシャ第1回研究会
  • [学会発表] Japanese Travelers to Tibet and Tibetan Military―Yasujiro Yajima2018

    • 著者名/発表者名
      Komoto Yasuko
    • 学会等名
      Military Culture in Tibet. Wolfson College, Oxford
    • 国際学会
  • [学会発表] 戦時下日本における「宗教」イメージ2018

    • 著者名/発表者名
      高本康子
    • 学会等名
      平成30年度密教研究会学術大会
  • [学会発表] 冒険と明治日本2018

    • 著者名/発表者名
      高本康子
    • 学会等名
      龍谷大学宗教部講演会
    • 招待講演
  • [図書] 日本仏教と西洋世界―明治の革新者たち(仮題)(奥山直司「善連法彦―トルコ・英仏見聞録」、頁未定)2020

    • 著者名/発表者名
      嵩満也・吉永進一・碧海寿広編
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      法蔵館
  • [図書] 河口慧海の新研究(仮題)2019

    • 著者名/発表者名
      奥山直司編著
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 日本仏教団の宣撫工作と大陸(高本康子「「大同」と「理解」―中支宗教大同連盟資料に見る「大陸」と日本人」、頁未定)2019

    • 著者名/発表者名
      槻木瑞生他編
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      龍渓書舎
  • [図書] 河口慧海の新研究(仮題)(高本康子「入蔵者往還―多田等観資料から見た河口慧海」、頁未定)2019

    • 著者名/発表者名
      奥山直司編著
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 増補改訂普及版梵字悉曇教本、上巻・入門編(奥山直司「大宮孝潤のインド」、pp.306-340、「日本仏教界の恩人・間島與喜」、pp.341-346)2018

    • 著者名/発表者名
      悉曇蔵研究会編
    • 総ページ数
      365
    • 出版者
      USS出版
  • [図書] 堺・経典をめぐる文化史(奥山直司「特別寄稿 明治の三蔵法師・河口慧海が求めたもの」、pp.70-71)2018

    • 著者名/発表者名
      堺市博物館編
    • 総ページ数
      79
    • 出版者
      堺市博物館
  • [図書] 青蔵高原的古代文明:北京首届国際象雄文化学術検討会論文集(三宅伸一郎"Nyi hong gi bon po zhib 'jug thog ma nas 'phros pa'i gtam"pp.364-379)2018

    • 著者名/発表者名
      sTon skor Tshe ring thar & Shar gzhon Tshe ring zla ba (eds.)
    • 総ページ数
      414
    • 出版者
      青海民族出版社

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公開日: 2019-12-27  

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