研究課題/領域番号 |
18K00074
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研究機関 | 一般財団法人人文情報学研究所 |
研究代表者 |
苫米地 等流 一般財団法人人文情報学研究所, 仏典写本研究部門, 主席研究員 (60601680)
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研究分担者 |
加納 和雄 駒澤大学, 仏教学部, 准教授 (00509523)
倉西 憲一 大正大学, 仏教学部, 専任講師 (90573709)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インド後期密教 / アバヤーカラグプタ / 『アームナーヤマンジャリー』 / サンスクリットテクスト校訂 / テクスト資料デジタル化 / インド仏教 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、11世紀から12世紀にかけて活躍したインド仏教の学僧アバヤーカラグプタの著作『アームナーヤマンジャリー』のサンスクリットテクスト校訂を主たる目的とする。2023年度は、前年に引き続き、従前より用意のドラフト版校訂テクストを、あらためて写本・蔵訳等の関係資料と対照し、校訂テクストの品質を改善することにつとめた。また、同書に関連の深いカマラナータ作『へーヴァジュラ註』や、アバヤーカラグプタの他著作(『五次第註』など)との対照作業を継続した。本来の予定では、最終年度までに校訂テクストの一部を公刊できるはずであったが、関連文献の検討、特に『アームナーヤマンジャリー』が註釈対照とする『サンプタタントラ』のテクスト確定に手間を要しているため、校訂テクストは最終年度末の段階でドラフト状態にとどまっている。 研究期間全体を通してみると、第一に、かなり早い時期に研究の叩き台となる基礎校訂テクストを準備することが出来た。これを用いてパンデミック以前の時期にハンブルク大学やナポリ大学L'Orientale校において開催された、国際研究会での共同読解作業は、テクスト理解と校訂テクストの改善に大きく寄与したといえる。また、この期間には、『アームナーヤマンジャリー』および『へーヴァジュラ註』のサンスクリットテクストをTEI準拠のXMLデータとして翻刻することができた。パンデミック以降の期間においては、当初は様々な社会的制約から効率的な研究遂行に支障が発生し研究会等の開催が困難であったが、逐次研究体制のオンライン化をすすめ、上記ハンブルク大学やナポリ大学の研究協力者と共に国際ワークショップを開催、知見の共有などを行なうことができた。最終的に校訂テクストの公刊には至らなかったものの、研究期間中に十分な知見を集積できたので、今後迅速に校訂テクストを完成したいと考えている。
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