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2019 年度 実施状況報告書

インドネシアにおける伝統儀礼の産業化の背景と影響に関する宗教学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00075
研究機関東北大学

研究代表者

木村 敏明  東北大学, 文学研究科, 教授 (80322923)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード儀礼 / 産業化 / インドネシア / 冠婚葬祭
研究実績の概要

本研究ではa.インドネシアにおける冠婚葬祭の産業化の実態を明らかにした上で、b.その儀礼の産業化はいかなる背景で起きたのか、またc.その変化は家族、地域社会や、その産業の側にいかなる影響変化をもたらしたのかという問題に焦点を絞って研究を進めてきた。
本年度はインドネシアの中でも数少ないヒンドゥー教信者が集中しているバリ島に焦点を絞り、ガネーシャ教育大学のスアルティニ氏の協力を仰いで8月に現地調査を行った。その結果、これまで研究してきたスマトラやジャワのムスリムを中心とした社会とは異なった冠婚葬祭の産業化の実態を明らかにすることができた。その特徴は以下の通り。1.火葬を行うために多額の費用が必要であることもあり、家計に応じて死から火葬終了までのプロセスにいくつか選択肢がある。2.バリの多くの地域ではバンジャールと呼ばれる地域コミュニティーの結束力がなお強く、基本的に葬儀はそれらのコミュニティーが中心となって行われてきたこと。3.近年、出稼ぎなどでコミュニティーの活動に充分参加できない人の中に、火葬を総合葬儀業者に任せる人々が現れ始めた。特にバリは観光業が南部で盛んなため、そのような仕事に従事している北部出身者は伝統出来儀礼にそれほど時間を割くことができず、葬儀業者を利用する。4.また観光業の発展に伴い消費文化になじんだ人々の間で、伝統儀礼を簡素化しようとする志向が見られ、そのような人々には葬祭業者の提供するプランが魅力的に映っている。一方、このような人々は結婚式は盛大に催そうとする傾向が見られる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年までのスマトラなどイスラム優勢の地域に加え、ヒンドゥー教信者の多いバリで調査を行うことができたことは大きな進展である。ただし、年度内にインドネシア人研究者を招いて開催予定であった研究会は新型コロナウィルス感染症の影響で開催を見送らざるをえなくなった。ただしこれは来年度にインターネットを利用した遠隔地会議として実施可能であると見込んでいる。

今後の研究の推進方策

2020年度はスマトラで追加調査を予定しているが、コロナウィルス感染症に伴う措置で支障がでる可能性がある。しかし海外の協力者との連携でこの点は克服することができると考えている。また、研究発表の機会として国内外の学会中止が見込まれており、情勢によっては研究ノートや論文といった形での成果発表に重点をシフトしていかざるをえない可能性がある。

次年度使用額が生じた理由

2月に予定していた海外研究者招へいによる研究会開催と3月に予定していたインドネシアでの現地調査がコロナウィルス感染症をめぐる状況で不可能になったため。計画を変更して2020年度の後半にこれらの事業を実施することとする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 結婚2020

    • 著者名/発表者名
      木村敏明
    • 雑誌名

      『岩沼市史 民俗篇』

      巻: 0 ページ: 未定

  • [雑誌論文] 越境者をめぐる語りー宣教師伝の成立をめぐる予備的考察2020

    • 著者名/発表者名
      木村敏明
    • 雑誌名

      アレヴィー諸集団の境界と認識のコンフリクト及びエスニシティの変容

      巻: 0 ページ: 258-264

  • [学会発表] Meaning of Festival in Post Disaster Society2019

    • 著者名/発表者名
      Kimura Toshiaki
    • 学会等名
      International Symposium on Japanese Studies
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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