研究課題/領域番号 |
18K00082
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕子 白百合女子大学, 基礎教育センター, 教授 (60286888)
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研究分担者 |
市川 誠 立教大学, 文学部, 教授 (60308088)
大迫 章史 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (60382686)
坂野 正則 上智大学, 文学部, 准教授 (90613406)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宗教教育 / 宗教学 / 女子教育 / 修道会 / カトリシズム / 教育史 |
研究実績の概要 |
近世以来、アジア地域のカトリシズムの中心地となっており、また、主な比較対象国であるフィリピンにおける国際教育修道会の教育について、その歴史と実践及び修道会・関係施設現地研究者たちとの面談調査を実施、また、現地の教育関係者の大会において研究発表を行い、今後の研究方向について意見交換を実施した。また、現地調査では、アジア地域のカトリックの神学生や修道者たちが集うマニラ地域の学校において、アジアにおける国際修道会・宣教会の教育に関する移動などについて調査を実施し、今後の調査のためのラポールを形成した。さらにはこれらの現地調査を通じて、今まであいまいであった当時アジアにおける拠点であったマニラ及び東アジアの資料が現存する古文書館を特定することができ、次年度以降の研究の発展の基盤をすえることができた。 なお、比較としての日本に関する研究においては比較対象として同じいくつかの国際教育修道会に関する資料整理、デジタル化を実施した。資料が散逸する時期となっていることから、デジタル化された資料を基に個々の歴史資料の判別・整理作業を実施している。また、アジア・太平洋戦争下におけるカトリシズムに基づく諸学校の動向について、とりわけ国際修道会及びローマ教皇庁などとの関係や影響について研究を実施するとともに、アジアにおけるカトリシズムの教育に大きな影響を与えたパリ外国宣教会の日本における活動についての基本的知見を整理し、史料状況の探索を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フィリピンでの国際教育修道会における教育実践の調査・分析とともに、アジア諸国の修道者の養成地としてのフィリピンにおける修道者の交流・移動に関する調査を実施、分析、また、それらを発表する場を得たことにより、現地研究者との意見交換が可能となったことは共同研究の醸成という意味でも大きな収穫であったと考える。日本との複雑な関係もあるフィリピンにおける史的研究を進めるうえでのラポールを得ることができたことも今後の研究を進めるうえでの大きな助けとなった。 大きな枠組みとしてのアジアにおけるパリ外国宣教会の影響に関して、今までの広域での研究に加え、それらが日本国内の教育事業にどのような影響を与えてきたかについてとらえなおすための史料状況の探索が開始されたことで次年度以降の研究の進展への基盤が整いつつある。日本の教育行政的な視点からも国際教育修道会の教育事業への海外からの影響、およびその歴史的におかれた立ち位置などについて研究を進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、国際教育修道会における教育実践、およびその諸アジア地域との交流などを確認するとともに、研究を進める中でマニラ及び東アジア地域の国際教育修道会に関する歴史資料が保存されている古文書館の特定ができたことから、次年度は研究協力者の協力を得て、そこでの資料収集のための実地調査を検討している。 国内のカトリシズムに基づく教育事業に関する研究は今年度同様、日本における国際教育修道会の教育実践とローマ教皇庁や国際教育修道会本部など海外からの影響を歴史的に明らかにするとともに、この時代のアジアにおけるカトリシズムの宣教及び教育事業に関して大きな力をもったパリ外国宣教会の影響、とりわけ、近代におけるパリ外国宣教会のアジア宣教活動における女子教育の位置づけを中心に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外古文書館調査が日程の関係で次年度に移動されたため。
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