研究課題/領域番号 |
18K00084
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
李 賢京 東海大学, 文学部, 准教授 (80584333)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人口減少 / 過疎化 / 外国人宣教師 / キリスト教 / 地域維持 / 地域社会 / 多文化共生 |
研究実績の概要 |
本年度は、地域社会と宗教施設、そして外国人宣教師のかかわりをテーマに、近隣地域(東京・神奈川)を中心に、過疎化や高齢化、外国籍信者などへの教会側の対応に加え、外国人宣教師の地域社会への関心や参加、そして地域住民との連帯や社会支援活動などのデータ収集に努めた。一方、遠隔地(北海道)の外国人信者や教会関係者を対象に、オンライン調査を実施し、地域社会と教会、外国人信者とのかかわりについて話を聞いた。 コロナ禍のなか、従来の宗教活動や地域活動に制限が生じたものの、地域のフードバンクとの連携や支援者からの寄付金などを受けて、コロナ禍で困窮する人々に食料品支援を行ったり、地域の労働組合や医療施設と連携し、関連(労働・医療)支援が受けられるよう活動を展開したりするなど、地域・団体との連帯を通して支援活動を継続していることがわかった。その際、教会という場を軸としながら外国人宣教師が重要な役割を果たしており、信者の高齢化や施設維持に苦しむ日本の教会ならびに当該地域社会において、教会や地域維持の担い手として期待されていた。上記の調査で得られたデータをまとめ、所属研究会やISSR/SISR(国際宗教社会学会)で口頭発表を実施した。参加した研究者からのコメントを集約しながら、データを検討し、学会誌への投稿を準備している。 さらには、外国人宣教師と彼らの出身地域の教団や関係者との連携も行われており、次年度はこうしたトランスナショナルな活動の展開にも注目しつつ、調査を継続実施する必要があると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、十分な現地調査を進めることが難しかった。本年度も昨年度に引き続き、長崎や鹿児島、秋田、北海道など、人口減少の局面にある地域に赴き、教会調査およびそこで活動を展開する外国人宣教師一人ひとりへの聞き取り調査、住民たちへの聞き取り調査などを予定していたが、高齢者が多い地域が多かったため、予定通りに調査を進めることはできなかった。ただし、奄美大島では現地調査の機会が得られたことや、北海道の調査対象者へのオンライン調査が可能となり、これまでの研究の遅れを少し巻き返すことができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともない、十分な現地調査を進めることが難しかったが、一部の地域では現地調査の機会が得られたことや、オンライン調査も可能であったことから、次年度も現地調査の可能な地域を積極的に探りつつ、オンライン調査も並行して実施する予定である。また昨年度に実施できなかった、(1)キリスト教会および信者数、関連団体が多い長崎などの地域、(2)関連団体の社会福祉活動が盛んな秋田などの地域、への現地調査を図りつつ、(3)近隣地域の調査、(4)オンライン調査、を積極的に実施する。また、以上から得られるデータをもとに、研究会・学会などでの研究報告にも努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの感染拡大の影響を受け、本研究においてもっとも支出が多いものと予想されていた調査費用がかからなかったため、次年度使用額が生じてしまった。次年度は、近隣地域の調査やオンライン調査を積極的に実施するなど、調査費用として利用する予定である。
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