研究課題
現在、日本各地にモスクを中心とするムスリム・コミュニティが形成されている。近年、コミュニティ周辺では共生に関する課題が出現しており、モスクを運営するイスラーム団体は地域社会との接点としての役割を期待される状況が出現している。本研究では、日本のイスラーム団体のうち、特にタブリーギー・ジャマーアトを対象として、1. 国内外に広がる組織構造・ネットワーク、活動実態、2. 行為主体である信徒、双方からの実態解明を行い、3. 地域社会の多文化化に伴う共生課題解決に向けた知見を提供することを目的とした。本研究課題の研究期間は、新型コロナウィルス感染拡大などによる社会状況の変化のただ中にあった。感染症対策や困窮者支援など共生課題そのものの範囲が拡大する中で、様々な団体がこうした課題解決に関与している状況が認められた。こうした状況を受け、本研究は、タブリーギー・ジャマーアトにくわえ他団体の動向も同時に把握することとし、当初計画より広い視点で共生課題について考えることができた。最終年度の24年度は、主たる対象であったタブリーギー・ジャマーアトに関する成果に加えて、その他の団体・モスクの事例をもとにした成果を提出する事ができた。具体的には、(1)タブリーギー・ジャマーアトの日本における望ましい活動を巡る議論から集団内のサブグループ間の力関係およびその流動性、(2)ムスリム散住地域におけるモスクが地域の多文化共生において果たす役割と課題およびホスト社会の組織や住民との連携、(3)災害・パンデミック時におけるイスラーム団体の活動、(4)日本のムスリムの高齢化と死にたいするモスクの対応等に関して、論文・著書・学会等を通じて報告する事ができた。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
Progress in Disaster Science
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