研究課題/領域番号 |
18K00087
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
三好 千春 南山大学, 人文学部, 教授 (30241912)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本カトリック教会 / 教会指導者 / 反共産主義 / 神学 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本カトリック教会指導者(司教団、司祭、神学者、カトリック言論人)たちの戦争をめぐる言説の分析を通して、カトリック教会内部で働いていた物理的・精神的動員の力学とメカニズムを探ろうとするものである。 2021年度は、日本カトリック教会の反共産主義の実態をさらに解明することを目指し、特に中国における共産主義に関して教会がどのように理解していたかに関する史料の収集と読み込みを行った。また、日本カトリック教会の中国における共産主義理解は、ローマ教皇庁の中国における共産主義理解や神学、教会全体としての対共産主義方針などとも関係していることから、それらの関連書籍・論文を読むとともに、既に2019年度に行った、1920~30年代における日本カトリック教会の反共産主義言説に関する学会発表の内容が、このテーマと密接に関連するため、既に発表した内容をさらに補充し分析し直した上で論文を執筆することを目指したが、完成に至らなかった。 なお、本研究のテーマとは直接的には関係ないものの、コロナ禍における教会の対応を考える際の手がかりとして、昨年度キリスト教会とスペイン風邪に関する共同研究を行った。その成果として、スペイン風邪についてカトリック教会の逐次刊行物がどのような報道を行ったかに関する論文を書籍の一部として発表したが、この研究を通じて、当時のカトリック教会内の司祭中心主義的傾向を確認することができた。これは、戦時期における教会内部で動いていた精神的動員の力学の考察と関係する点であることから、間接的とはいえ研究の深化に役立ったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本カトリック教会の反共産主義に関して、当時のローマ教皇庁の反共産主義の実情や当時神学的言説内容や日本国内の共産主義の動向、中国における共産主義の動向など、調査すべき事柄が多く、予想以上に時間がかかったことが理由の一つである。 それに加えて、私的な理由であるが、昨年度から学科長に就任した影響により研究時間が減少したことも影響している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、上記の1920~30年代の日本カトリック教会の反共産主義言説に関する論文を完成させる。また、本年度は最終年度であるため、研究テーマの中心である教会内に働く物理的・精神的動員の力学とメカニズムに関する考察に注力し、学会発表もしくは論文執筆を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として、研究関連書籍を購入する予定であったが、一部の書籍を2022年度に購入することとなったためである。そのため、22年度に予定していた残りの書籍を購入する。
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