研究課題/領域番号 |
18K00093
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
山本 佳世子 天理医療大学, 医療学部, 助教 (10625445)
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研究分担者 |
谷山 洋三 東北大学, 文学研究科, 准教授 (10368376)
打本 弘祐 龍谷大学, 文学部, 准教授 (20769129)
森田 敬史 龍谷大学, 文学部, 教授 (40821913)
葛西 賢太 上智大学, グリーフケア研究所, 准教授 (00281014)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 非信者 / スピリチュアルケア / 宗教的ケア / チャプレン / ビハーラ僧 |
研究実績の概要 |
今年度は、3回開催した研究会を通じて、研究分担者による米国、豪州、イランといった海外の動向の情報共有があった他、調査研究の具体的な質問項目の精査を行い、以下の調査を行った。 宗教的背景のある病院で活動する宗教者へのインタビュー調査として、9月に研究代表者および研究分担者の葛西が、キリスト教系病院2病院にて、計3名のチャプレンに対するインタビュー調査を、3月には研究分担者の森田が、長岡西病院にて、4名のビハーラ僧に対するインタビュー調査を行った。さらに、11月から12月にかけて、医療施設で活動する宗教者の全国レベルでの実態把握のための質問紙調査を行い、227件の回答を得ることができた。これらの調査結果は、研究会での徹底した議論を通じて、分析・考察を進めているところである。 また、6月には上智大学で開催された無神論研究会に研究代表者および研究分担者の谷山と葛西が参加し、無心論者のありようについて国際調査をしているイギリスのDr.Lanmannと議論をし、各国の無宗教者のあり方および彼らへのケアのあり方について、議論を深めることができた。 宗教者による医療現場等でのケアについて、複数のインタビュー調査から見えてきたことは、一口に宗教的ケアと言ってもその内容は多様であること、宗教による違いも確かにある一方で、それ以上に、施設の理念や宗教者個人の考え方、宗教者が受けてきた教育内容の影響が大きいことが予想されること、何れにしても非信者に対してそれぞれの病院毎に様々な配慮をしていることがわかった。また、質問紙調査からも、宗教者が活動することによるメリットや、宗教者への期待が見て取ることができ、こうした成果は、近年注目され、増加傾向にある臨床宗教師として活動する宗教者や、彼らが活動する病院にとって、多くの示唆を与えるものである。 以上の調査研究の成果の一部を口頭および論文により発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3回の研究会を通して、調査に向けてのディスカッションを徹底して行い、以下の通り、本研究で予定していた調査を全て終えることができた。 (1)質問し調査による医療施設で活動する宗教者の全国レベルでの全体像の把握については、質問紙の配布と回収が終わり、分析を始めることができた。 (2)宗教的背景のある病院で活動する宗教者への面接調査については、昨年度行った調査に加え、長岡西病院と、キリスト教計病院2病院での調査を実施した。キリスト教計病院については、当初予定していた病院での調査が叶わなかったが、代わりに他の2施設で調査を実施することができた。 それぞれの調査について、分析・考察を進めることができており、その一部は口頭および論文で成果を発表することができた。さらに、研究会では各研究結果の統合に向けての議論を始めることができている。 以上、概ね計画通りに研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も引き続き年3回の研究会を開催し、徹底した議論を続行しながら、各調査研究の成果を統合していき、宗教者による非信者へのケアの多様なあり方を明らかにすると同時に、その可能性と意義、求められる在り方を示し、そこに現れる日本人の死生観や宗教性の一端を示したい。 具体的には、各研究成果を論文化すると同時に、日本宗教学会学術大会でのパネル発表等を企画し、全体の研究成果を公表する。最終的には、研究成果の書籍化を目指す。 ただし、新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響で、研究会はオンライン会議となる可能性が高く、パネル等での全体の研究成果の発表についても、学術大会の中止等が予想される中で、状況に応じた臨機応変な対応を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の打本が、2020年3月13日に米国バークレーにて開催予定だった国際会議にて、研究成果の一部を発表予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国際会議が中止となったため、その経費(海外旅費)が未使用となった。発表予定だった内容を、2020年度に発表できるよう検討し、その旅費として使用する計画である。
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