研究課題
基盤研究(C)
本研究は19世紀フランスにおける「社会」(より具体的には、19世紀前半に本格化する産業化された社会)という主題を、「理性」との関係で検討した。革命後のフランスでは、統治の基礎をルソー的な人民の「意志」ではなく「理性」へと求めることが重要な思想的トレンドとなった。本研究はその点を踏まえつつ、統治の基盤たるその理性を社会からいかに引き出すか、という点をめぐる思想家たちの論争を再構成したものである。
社会思想史
本研究の根本にある問いは、統治の基礎となるべきものは何であり、それをどこに・どのように求めるべきか、というものである。本研究はこの問いを革命後の19世紀フランスを題材に検討した。本研究の学術的意義は、上記の根本的な問いを設定することで、イデオロギーによって研究が分断されがちな19世紀フランスの諸思想(とくに自由主義者と社会主義者)を、その政治的立場を横断して扱った点にある。