研究課題/領域番号 |
18K00098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
原 和之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00293118)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 精神分析 / フロイト / ラカン / 性の多様性 / エディプス / 欲望の弁証法 / 性別化 / クィア |
研究成果の概要 |
ジャック・ラカンが1950年代にその『セミネール』で展開した、前エディプス期からエディプス期に至る心理-性的な発達過程の再定義、所謂「欲望の弁証法」の議論を、その前提にまで遡って読み直すことにより、それが男性的な同一化のみならず女性的な同一化をも、一貫した、そして臨床的な観察と合致する仕方で記述しうるものであることを具体的に提示し、この一般化された欲望の弁証法が、彼の1970年代の所謂「性別化」の議論における女性性の規定にまでつながる射程を持つことを示すとともに、性同一性と性対象選択の二つの水準における性の多様性を統一的に説明するモデルを提供する可能性を持つものであるということを明らかにした。
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自由記述の分野 |
西洋思想史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的な意義はまず、男性的ないしファルス的な偏向が指摘されることの多いラカンの1950年代の議論を、その本来の一貫性において捉え直すことで、それが女性的な主体の性の引き受けをも説明しうることを明らかにした点にある。またこれにより、時期ごとの変遷を強調されることの多い彼の思想について、その議論の通底ないし一貫性を見て取ることのできる新たな視座を提供することが可能になった。さらにその理論的な射程の拡張は、女性性のみならず多様な性のあり方にまで及んでおり、それらを発達の「固着」や「停止」とは無関係に位置づける理論的枠組みを提示している点で、社会的な包摂にも大きな役割を果たすことが期待される。
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