この研究プロジェクトでは、プロティノスから偽ディオニュシオス・ホ・アレパギテースに至る古代末期の新プラトン主義者と同時代のキリスト教著作家たちの論考にみられる「過去の父祖たちの宗教」としての「ヘレニズム・ローマ宗教」への関心のありかたと、それに対置される宗教史・宗教現象への共通の関心としての来るべき宗教像を明らかにすることである。ここでは、たとえばアウグスティヌス『神の国』にみられるようなキリスト教側のヘレニズム・ローマ宗教像やキリスト教の外側にある哲学像への批判と、新プラトン主義者から見た神々と人間の互恵的な関係にもとづく「父祖たちの宗教」とその究極の形態としての神働術への論争を分析した。
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