• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

欧米優生学説の成立の背景と日本社会への輸入の際の取捨選択に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00106
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

本多 創史  福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40528361)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード思想史 / 優生学 / 遺伝学史 / 近代日本史
研究実績の概要

今年度は、これまでに集めてきた資料を読み込み、20世紀初頭から中盤にかけての日本の優生学の流れを特定の視点に立ってまとめる作業をおこなった。概ね400字詰め原稿用紙にして700枚分の草稿が完成した。
具体的には、20世紀初頭の海野幸徳のテクストを分析した。その際、彼の特異性を浮き上がらせるべく、身体侵襲性の手段の採否という観点を導入し、イギリスのゴルトンやサリビーとの比較や、ドイツのシャルマイヤーやプレッツとの比較などをおこなって記述した。次に、加藤弘之や井上哲次郎など19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した学者の人間観を明らかにし、その人間観と優生学の採用との内在的な関係について検討した。さらに、1920年代後半の政府調査会の答申を分析して、優生学が政治の舞台にのぼってくる過程を再構成した。加えて、『優生学』『優生運動』といった啓蒙のための媒体を分析し、身体侵襲性の手段が徐々に正当性を獲得していく過程、および身体侵襲性の手段を具体的に社会のなかに浸透させていくための活動について明らかにした。また、古屋芳雄という公衆衛生学者を分析対象として、文学者時代から公衆衛生学者時代まで含めて、その思想と行動を明らかにした。最後に、これまで無名であった小児科学者を取り上げて、彼の思想的冒険の意味、優生学批判とその再編成について明らかにした。
これらの作業を通じて、20世紀前半の近代日本において、「異常」とされていた人々は誰であり、それらの人々に対してどのような感受性が社会に共有されていたのかを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

700枚程度の草稿をまとめることができたため。

今後の研究の推進方策

上の草稿を単行本として出版する予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症拡大のため、予定していた国会図書館、東京大学医学図書館等への出張を取りやめたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ワイズマン遺伝学説と断種手術―海野幸徳の選択―(下)2020

    • 著者名/発表者名
      本多創史
    • 雑誌名

      生物学史研究

      巻: 100 ページ: 1~15

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi