本研究では、テクストと並んで図解が世界の認識と思考のための道具となる啓蒙主義時代から、「タブロー」の語が科学技術分野での「図解」を意味するようになる19世紀前半(第二帝政期以前)までのフランスを対象に、建築分野における図面や図表表現に着目し、世界を把握・解釈・分類し(再)構築・(再)創造するための思考行為の媒体・手段として捉えた上で、その思想史上の意義を明らかにした。さらに、この特徴的な時代における知と認識の枠組の特徴と変遷を、自然科学史や認識論とも架橋しつつ、建築の図的表現において明らかにした。
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