エミール・バンヴェニストは1945-1950年にかけて、コレージュ・ド・フランスにおいて制度語彙に関する講義を行っている。今回の資料調査では、この講義の準備ノートのなかに、「話すparler」という動詞、あるいは「言葉paroles」に関する語彙のノートを多数見いだした。発話行為に関する一般言語学的な考察が1960年代後半に深められるという一般的な見方に反して、草稿のなかではすでに1940年代後半から「話す」行為への思索が見られるということである。その思索は、60年代後半に見出せるものよりもはるかに深く、多様な側面を見せている。本研究の成果は、複数の研究論文と一本の学会発表において公表した。
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