• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

戦時期教学刷新事業としての「日本文化講義」

研究課題

研究課題/領域番号 18K00113
研究機関大阪工業大学

研究代表者

上久保 敏  大阪工業大学, 工学部, 教授 (20309173)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード日本文化講義 / 思想善導 / 教学刷新 / 日本諸学振興委員会 / 教学局
研究実績の概要

帝国大学、官立大学、高等学校、専門学校等の文部省直轄諸学校および私立の大学・専門学校等で昭和11~20年度に実施された「日本文化講義」の全容を解明し、文部省・教学局によって進められた戦時期における教学刷新事業の具体的一面や思想善導の実態を明らかにすることが本研究の目的である。
「日本文化講義」についてその具体像・実態を解明するために、まず研究開始年度である本年度については日本文化講義の「実施事例データベース」の作成と私立の大学・専門学校における実施事例の収集に重点を置いた調査・作業を進めた。
文部省直轄諸学校における実施事例については収集済みであった昭和11~16年度における実施事例のデータ入力を完了させた。昭和17年度以降の「日本文化講義」の実施事例や私立の大学・専門学校等における実施事例については国内各地の大学図書館や大学アーカイブズ(大学の歴史館、資料館、文書館、大学史編纂室など)に足を運び、各大学が所蔵する①昭和11~20年度に発行された大学新聞や紀要等の学内刊行物、②各大学の図書館や大学アーカイブズ等所蔵する文部省・教学局との往復文書、③理事会議事録、評議会議事録、教授会議事録などの学内意思決定機関による記録、④学報・月報・週報などの学内行事が書かれている学内報、⑤学内の日々の動向を記録した教務日誌・庶務日誌などの日誌類、といった諸資料を閲覧し、複写やデジタルカメラで撮影することにより逐次収集を進めていった。本年度の資料収集は関東地方の私立大学に重点を置き、中央大学、上智大学、拓殖大学、立正大学、日本医科大学、明治学院大学、成城大学などで調査を行い、具体的な実施事例や実施しなかったという報告文書控えなどを発見できた。
本年度末より関東地方所在の私立の大学・専門学校における「日本文化講義」の展開に関する論文作成に着手した。2019年度中に発表する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」欄で述べた通り、昭和11~16年度分のデータ入力については順調に作業を進めることができたが、大学図書館や大学アーカイブズへの出張による資料調査・収集は、夏期休暇期間中に別の研究課題による論文作成が必要となったため、11月以降に延期せざるを得ず、全体として進捗がやや遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

本年度に引き続き2019年度においても大学図書館や大学アーカイブズへの出張による資料調査・収集を進めていくとともに収集済みの昭和17年度以降における帝国大学、官立大学、高等学校や専門学校、実業専門学校などの文部省直轄諸学校における実施事例と私立大学・専門学校のデータ入力作業を進め、日本文化講義の「実施事例データベース」の拡充を図っていく。それにより実施事例について専門分野ごとの分類を行い、経年による分野・トピックの変化が分析できる体制を整えていきたい。
また、「実施事例データベース」を活用することにより「担当講師データベース」の作成にも着手し、専門分野や日本精神派などの思想傾向によって担当講師を分類することを通じて講師に関する分析を行う上で必要となる研究土台の整備を進める計画である。
当研究課題の最終年度となる2020年度においては、これらのデータベースを駆使することで、各年の日本文化講義に占める日本主義・日本精神を重視する「日本精神派」の担当講師の割合など、日本文化講義の思想面の変化を考察していき、研究成果の発表を目指す所存である。

次年度使用額が生じた理由

<次年度使用が生じた理由> 次年度への繰越金が生じたのは、①基金という形態で交付された助成金の長所を活かし、当初予定していたパソコンの購入を次年度以降に先送りすることにしたこと、②別の研究課題による仕事が入ったため、大学図書館・大学アーカイブズへの出張を2018年11月以降に延期せざるを得ず、また資料調査の対象とする大学を首都圏の大学にしたことにより日帰り出張で対応できたため、当初見込みよりも出張旅費の支出が少なくなったことが主な理由である。
<使用計画> 文部省・教学局の教学刷新事業が戦時期の各大学における教育・研究体制に及ぼした影響を知るために各大学の百年史などの大学沿革史を購入する予定である。また、次年度においても引き続き日本文化講義の全容解明に重きを置くため、所属大学図書館を通じて各大学に日本文化講義関係文書の閲覧申請を行い、現地での閲覧調査・文書撮影による資料収集のため、国内各大学への出張旅費に助成金を充当する計画である。

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi