本研究は、古来我が国に広く行われ、現在でもよく知られている「天道信仰」について、日本のみならず東アジア思想との影響関係を跡付けることを目指す試みである。日本における「天道」といえば、現在は「おてんとうさま」を太陽と考えることが多いが、調査によれば単なる太陽ということではなく、神道・仏教・陰陽道・道教などの複合的な宗教概念であることが浮かび上がってきた。とりわけ道教や陰陽道などとの関連を調査していくうちに、琉球の「天道」祭祀や大陸の「天道」観念の影響が顕著であることが明らかとなった。特に天道信仰のルーツを沖縄(琉球)から大陸へと遡及して跡付けた点が大きな収穫である。
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