研究課題/領域番号 |
18K00122
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
飛嶋 隆信 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302915)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 美術批評 / 両大戦間期 / フランス / イタリア / ドイツ / 近代美術 / 古典 / 伝統 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的であるヴァルデマール・ジョルジュの批評に関して、また、同時代のフランスにおける美術批評の動向に関して、2018年8月末の約1週間、パリのフランス国立図書館および美術史・考古学図書館にて書籍および雑誌掲載論文の調査を行った。当初の研究実施計画には含まれていなかったが、フランス的な「伝統」を体現する画家として19世紀の画家カミーユ・コローに対する再評価が両大戦間期にフランスおよびイタリアにおいてなされていたことにも着目、ヴァルデマール・ジョルジュにとっての「伝統」概念の形成の時代背景として今後も調査を継続する予定である。 また、ヴァルデマール・ジョルジュが高く評価し、両大戦間期の彼の批評にも大きな影響を与えたイタリア美術の動向に関しては、美術批評家マルゲリータ・サルファッティが率いる「ノヴェチェント」に関する資料調査を、2019年3月末の約一週間、ローマ国立図書館、美術史・考古学図書館、アンジェリカ図書館等で行った(当初予定していた視覚芸術資料センターよりも豊富な資料が所蔵されていることが現地調査にて判明したため、調査先を上記の諸機関に変更した)。また、現地の近代美術館等で、関連作品を実地に鑑賞した。 以上の資料調査の実績を踏まえて、近現代美術における「古典」の問題を扱った論集に寄稿予定の論文を執筆中で、5月中には原稿を提出、今年度中には出版される予定である。 2019年度も、上記同様パリとローマでの資料調査を行い、研究に必要な資料を補完する予定であるが、イタリア関連に関しては、調査先として「ノヴェチェント」の本拠地であったミラノの図書館も追加することを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた資料調査をパリ・ローマの両都市で概ね進めることができ、収集した資料に基づき、計画開始以前よりも、研究対象についてより明確な認識を得られたと考えている。 ただ、日本では入手が不可能で、現地で(特にローマで)実物を閲覧して初めてその重要性を認識できた資料も数多く、2018年度の調査では十分に閲覧することが出来なかったものについては、2019年度に更に調査を継続することが必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記の進捗状況での判断理由にも述べたように、資料調査を更に行い、不足分を補完することが必要である。 また、研究計画で予定していたように、ヴァルデマール・ジョルジュの批評に、オーストリアの美術史家ヨゼフ・シュトルツィゴフスキー(シュトゴフスキー)の東方重視の美術史感がいかに影響を与えたかに関して、並行して資料調査を行い、諸成果を踏まえた論文執筆を目指す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ローマでの調査計画が、本務先での業務の都合上、年度末の一週間弱という短い期間しか取れず、予定より支出が少なかったこと、また、限られた時間内で、図書館や美術館での調査を優先せざるを得なかったため、現地書店での図書購入(新刊および古書)を行えなかったことが理由である。
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