研究課題/領域番号 |
18K00129
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
川端 美都子 京都市立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (20749858)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メディアスポラ / 民族音楽学 / ディアスポラ / アルゼンチン=ユダヤ / ラテンアメリカ=ユダヤ / ホーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アルゼンチン・ユダヤ音楽家による現実社会とメディア上での音楽活動を追うことで、彼(女)らが、音楽を通して様々な差異を乗り越えていく様を民族誌的に分析し、考察し、「メディアスポラ」という概念を理論化することである。実際の計画では、米国におけるアルゼンチン・ユダヤ・コミュニティに関する文献調査や、主にカリフォルニア州ロサンジェルス市内やイスラエルにおけるアルゼンチン・ユダヤ音楽家の活動、及びアルゼンチン・ユダヤ・コミュニティの調査を予定していた。しかし、前年度に引き続き、新型コロナ感染症の蔓延により、海外での調査は断念せざるを得なくなった。 そのため、当該年度は、「メディアスポラ」という理論的概念の構築に向けて、ソーシャルメディアを利用して、音楽家たちがどのように帰属、接続、分離を表しているのかという点に着目した。その成果は2021年に開催された米国民族音楽学会の国際大会で発表することができた。そこで明らかになったのは、2021年10月の段階では、米国の民族音楽学者の間では、デジタル界における音楽活動の肯定的な側面のみが強調されていた点である。ソーシャルメディアがいかに現実社会の課題を解決する有効なツールであるかという発表が目立つ一方、現実とソーシャルメディアの狭間で技術的、理念的、音楽的ギャップに当惑する音楽家たちの姿については焦点が置かれない傾向が顕著であった。この差異とメディアスポラの関係についても更なる分析と理論化が必要であると考えている。ただし、アルゼンチン・ユダヤ音楽家に特化した内容に関しては、データがまだ充分とはいえない状況であるため、現在インタビューを継続実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度も、新型コロナ感染症の蔓延により海外渡航ができなかったり、インフォーマントが新型コロナ感染症に罹患するなどといった状況があり、本研究の目的を遂行するために必要な研究を実施すること自体が困難であったため、研究の進度が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
科研費最終年度の再延長をすることにより、一昨年度・昨年度に実施できなかった調査研究を行う予定である。海外渡航が引き続き困難である場合は、調査方法を完全にデジタル民族誌的調査方法へと移行することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大により、海外渡航が不可能であったため。 今年度は、海外渡航が可能になった場合は、費用をその調査に充てる予定である。もし、不可能であった場合には、英語論文の英文校正費用として使用する予定である。
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