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2019 年度 実施状況報告書

『歌道要法』の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00135
研究機関沖縄県立芸術大学

研究代表者

高瀬 澄子  沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (60304565)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード音楽論 / 琉球古典音楽 / 日本音楽史
研究実績の概要

2019年度は、前年度に引き続き、『歌道要法』の伝本の収集と調査を行った。
『歌道要法』(安冨祖正元、1845)には、二つの異本の系統があることが知られている。一つは約800字の短い本文、もう一つは約1,800字の長い本文である。短い本文は、(1)安冨祖流工工四(安室朝持編、1912)、(2)冨原守清『琉球音楽考』(1934)の二つの系統に分けることができる。長い本文は、(1) 琉球大学附属図書館所蔵『琉歌集』(喜舎場孫正旧蔵、写本の複製本、書写年不明)、(2)大城彦五郎編『節組琉歌集』(大城活版所、大正年間)、(3) 那覇市歴史博物館所蔵『向大輝川平朝彬 歌道要法』(川平朝申旧蔵、写本、書写年不明)の三つの系統に分けることができる。
短い本文のうち、(1)は(2)より先行するが、比較的初期と思われる安冨祖流工工四(沖縄県立芸術大学所蔵田辺文庫本、ハワイ大学所蔵宝玲文庫本の複製本)や山内盛彬の著作を参照すると、1912年の編纂当時、『歌道要法』はまだ掲載されていなかった可能性が高い。長い本文のうち、(1)の旧蔵者は石垣出身の喜舎場孫正(1892-1968)と見なされる。(2)は沖縄県立芸術大学・西尾市岩瀬文庫・ハワイ大学に計4点の所蔵が確認され、刊行年は1918, 22, 25年であるが、1918年は(2)の刊行年であるかどうか不明である。(3)は、野村安趙の弟子に当たり、欽定工工四の編纂に関わった川平朝彬(1838-1916)の編纂と伝えられる。
総括すると、短い本文は1934年、長い本文は1922年にまで遡ることができる。書写年不明の写本は、いずれも長い本文である。したがって、長い本文は短い本文より先行した可能性が高い。
以上の研究成果は、「二つの『歌道要法』」(沖縄文化協会第4回東京研究発表会、2019年9月7日)として口頭発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2年次(2019年度)は、1.本文の校合、2.二つの異本の共通点と相違点の抽出を行う予定であった。しかし、1はほぼ達成したが、2は十分に達成できていない。理由としては、初年次(2018年度)に予定していた伝本の収集と調査が完成しないまま、2年次に至ったことが挙げられる。

今後の研究の推進方策

最終年次(2020年度)は、2年次に達成できなかった二つの異本の共通点と相違点の抽出、および『顧誤録』(1851)と『歌道要法』の比較を行いたい。当初は最終年次には琉球・中国・日本の音楽論と『歌道要法』との比較を行う予定であったが、研究の遅れに鑑み、琉球と日本の音楽論については留保し、中国の音楽論である『顧誤録』を取り上げる。『顧誤録』を取り上げるのは、先行研究で類似が指摘されており、かつ両者の比較によって二つの異本の共通点と相違点がより明確になると予想されるからである。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由としては、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、年度末の調査が実施できなかったことが挙げられる。次年度も、予定していた学会発表ができないおそれがある。しかし、沖縄県内の調査については実施できる見込みもあるので、主に県内の熟覧調査等に使用できればと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 二つの『歌道要法』2019

    • 著者名/発表者名
      高瀬澄子
    • 学会等名
      沖縄文化協会2019年度第4回東京公開研究発表会

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公開日: 2021-01-27  

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