『歌道要法』とは、道光25年(1845)、歌三線の安富祖流の祖、安富祖正元(1785-1865)によって著された音楽論の一種である。本研究では、主に次の2点を明らかにした。(1) 現存する『歌道要法』の諸本を調査し、二系統の本文の先後関係を考察した。年代的には、「長い本文」が先行し、その後、「短い本文」が現れた可能性が高い。(2) 先行研究に基づき、中国の戯曲の書である『顧誤録』(1851刊)の「学曲六戒」と、『歌道要法』との相互関係を考察した。『歌道要法』の「長い本文」を参照すると、戯曲よりむしろ中国の琴の思想の要素が認められる。
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