研究実績の概要 |
本研究は第二次大戦期のアメリカにおける現代音楽作曲家たちによる戦争協力の実態を明らかにすることを目的としている。初年度となる2018年度は全体の基礎をなす作業として、主として重要文献の収集と精読を行なった。以下、もっとも重要と思われる3つの文献について記す。まずはベン・アーノルド『音楽、意味、戦争』(Ben Arnold“Music, Meaning, and War: The Titles of War Compositions”InternationalReview of the Aesthetics and Sociology of Music 22/1,1991)は、戦争に関連する作品(アメリカに限らない)を対象にしながら、それぞれがどのような形で戦争と関わっているのかについて考察したものである。この文献について著者のArnold氏と電子メールでいくつかの議論を交わし、氏の過去の著作である『音楽と戦争』(Music and war,1994)を、本研究の一種のデータベースとして用いることを決定した。 さらに本研究において決定的に重要だと思われる書物 アンヌグレット・ファウザー『戦争の音楽:第二次大戦期におけるアメリカの音楽』(Annegret Fauser“Sounds of War: music in the United States during World War Ⅱ,2013)を自分のゼミで精読し、第二次大戦中のアメリカにおける音楽活動の詳細を把握した。 一方で、アイルランドにおける学会 Documenting Jazzに参加し個人研究発表を行なった。この学会においては、戦争と音楽の関係性を問う発表が多く、きわめて重要な示唆を多数得ることができた。
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