研究実績の概要 |
2020年度は4月から1年間にわたってマサチューセッツ州ケンブリッジのハーヴァード大学において、同大学のキャロル・オジャ教授、アンヌ・シュレフラー教授と意見交換を重ねながら研究生活を送る予定だったが、2020年3月よりコロナ禍でヴィザが制限されたために、ようやく10月になってから渡米し、研究を開始することになった。 ただし、アメリカの感染状況もきわめて深刻であったために、大学校舎は完全に閉まっており(授業関係はすべてオンラインであった)、ファカルティと顔を合わせることもまったくできなかった。結果、オジャ教授、シュレフラー教授とは、ZOOMを通してのみの相談となってしまったが、その中でも有意義な情報交換はできた。とはいえ、図書館も完全に閉まっており、予約制でしか図書を借りることしかできなかったために、当初に予定していた「1940年代のアメリカの音楽雑誌を網羅的に調査する」というプランは放棄せざるを得なかった。 結果として、雑誌調査は次の機会に回し、大学図書館の強力なデータベース機能を生かしながら、既存論文の収集と読解に務めることになった。集中的に多くの論文を読むことになったが、とりわけKrystyn R. Moonによる論文”There's no Yellow in the Red,White, and Blue:The Creation of Anti-Japanese Music during World War Ⅱ”については、両教授と意見交換しながら詳細に検討し、自らの研究の方向性を整えることができたのは大きな収穫だった。
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