研究課題/領域番号 |
18K00151
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
牛田 あや美 京都造形芸術大学, 芸術学部, 准教授 (00468729)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マンガ / 挿絵 / 雑誌 / 新聞 / 朝鮮 |
研究実績の概要 |
日本でのペンネーム北宏二こと、金龍煥は現在では謎の挿絵家であり、マンガ家でもある。活躍した時代は長く、60年に渡っている。資料が多く、散逸しており、まだ調査の最中である。 本年度は現段階での調査とし、資料からみえてきた日本の美術の歴史から、北宏二の空白の期間(1945年~1959年、朝鮮・韓国で金龍煥名義)を中心に論文を作成した。彼は1912年、日本統治下の朝鮮で生まれた。韓国では彼の作り出したキャラクター「コチュブ」は、まだ健在である。韓国では漫画・マンガの父として知られているが、日本での彼の活躍はベールに包まれている。時代を経、忘れ去られてしまったことは否めないが、彼の育った時代が、彼の功績を隠している。戦前、戦中において雑誌で活躍した挿絵家や漫画家にとり、読者への戦意高揚を促す日本の国策から逃れられる者はいない。ましてや彼は外地出身者である。 彼のように戦前の日本に留学をし、日本の新聞社や出版社と仕事をした人々が解放後、言論の自由を得、新聞社や出版社を立ち上げていった。彼らがアジアの近代化を自国ですすめていった。また近代における「日本のマンガ」を語るとき、学校で勉強をしていた人たちが、マンガ家になったという経緯がある。漫画の父と呼ばれる岡本一平は東京美術学校、現在の東京芸術大学出身である。現在ですら、芸大や美大出身者のマンガ家が多いように、日本が鎖国を解き、国を開いた時から、マンガは独学で、というよりも美術同様に教師から学ぶことから始まったといってもいいだろう。アジアのなかでいち早く近代化した日本には、ヨーロッパからの芸術家が来訪していた。日本の漫画・マンガもルーツを探るとフランス人のジョルジュ・ビゴーとイギリス人のチャールズ・ワーグマンがでてくる。日本での留学時代の人脈、挿絵家としての活躍が、彼の朝鮮・韓国での成功へと繋がっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は日本、韓国にある図書館での収集が主なものとなった。雑誌、新聞での掲載が仕事であることから、それを探すことから始まった。国会図書館、国会図書館関西館、昭和館、日本近代文学館、神奈川近代文学館、大阪府立国際児童文学館、北海道道立図書館、韓国国会図書館、韓国中央図書館、韓国国立子ども青少年図書館、韓国中央研究院などで調査した。彼が掲載していた主な日本の雑誌では『日本少年』1934年11月~1937年9月、『少年倶楽部』1938年6月~1945年2月、『幼年倶楽部』1939年10月~1944年1月、『少女倶楽部』1940年1月~1942年3月、『錬成の友』1944年1月~1945年3月。日本解放後の朝鮮・韓国においては『中央新聞』1945年11月1日~1948年3月3日、『小学生』1948年3月~1950年4月、『少年世界』1952年7月~1956年10月、『学園』1953年1月~1959年6,7月合併、新聞『コリアン・リパブリック』1953年8月15日~1959年7月31日、『アリラン』1955年3月~1959年9月。日本に戻ってからは『少年クラブ』1961年12月~1962年12月、『週刊少年マガジン』1962年2月11日~1964年5月10日、『統一日報』1973年12月19日~1990年1月1日、『軍事研究』1977年3月~1979年2月。上記にあげたものも歯抜けのものも多く、また他の雑誌や新聞や残されている書籍だけでも30冊以上を調査した。事前に知っていた作品よりもはるかに多く収集は大変であったが、通訳のおかげでなんとか進展している。 しかし、彼の資料、客観的資料、インタビューからでも謎のことが多い。もう少し資料を調査し、謎を埋めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1945年~1959年の激動の朝鮮・韓国のなかでは散逸しているが、資料は多く残っている。どこにあるのか明確な資料は時間があれば収集可能である。2,3月とソウル、東京での資料集めが、感染症のために途中で切り上げている。またインタビューも止まっていることから、今後はそこを進めていく。しかし、今のコロナ禍の状況では、東京やソウルにある資料収集やインタビューは難しいのではと危惧している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の2、3月、ソウル東京での資料集め、インタビューのために出張に行ったが、新型コロナウィルスの感染症のため、途中で切り上げた。そのために誤差が生じている。
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