研究課題/領域番号 |
18K00154
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
服部 正 甲南大学, 文学部, 教授 (40712419)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アウトサイダー・アート / アール・ブリュット / 障害者による文化芸術活動 |
研究実績の概要 |
今年度の最大の成果は、ベルギーにて障害者のためのアトリエを訪問し、そこでの芸術家の役割について調査・研究を行ったことだ。また、国内では昨年度に引き続き滋賀県栗東市の社会福祉法人椎の木会落穂寮において、歴史的資料の調査・研究を行った。 リエージュでは、Trinkhall.Museumに名称変更してリニューアル開館する予定のMadmueeのリノベーション建築中の現場を訪れ、ディレクター、スタッフと意見交換を行った。リエージュでは、障害者が美術や身体表現などの創作活動を行うアトリエでで、Madmueeの運営母体であるCreahm Region Wallonneも訪問し、活動中の障害のあるアーティストや支援者であるプロのアーティストから話を聞いた。 ヴィエルサルムでは、様々な分野のアーティストと共同で活動を行っているLa"S" Grand Atelierを訪問し、見学と聞き取り調査、資料収集を行った。コルトレイク近郊のハーレルベーケでは、Kunstwerkplaats De Zandbergを訪問し、施設見学と聞き取り調査を行った。さらに、コルトレイクの障害者支援団体wit.h.も訪問し、先進的な活動について調査を行った。wit.h.は、障害者が社会とつながるための様々なプロジェクトを、様々なアーティストと共同で行っている団体で、ちょうどヘントのギズラン博士博物館でダウン症の出生前診断の問題をダウン症の人とアーティストが一緒に考えるプロジェクトを視覚化した企画展「bloedtest(血液検査)」を主催・開催していた。いずれの施設でも、芸術家が障害者の作品を評価して社会・美術界につなげるという「アール・ブリュット/アウトサイダー・アート」のモデルから脱却し、障害者と芸術家が協働して共通のミッションを達成するという方向にシフトしていることを確認できたことは大きな成果だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査データのウェブ公開のためのシステム構築と、ベルギーへの出張に想定よりやや多くの経費がかかり、年度末に予定していたいくつかの調査を次年度に回さなければならなかった。3月以降の新型コロナウイルスによる現地調査・面談の自粛の影響もあった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に即して研究を進めていく予定だが、新型コロナウイルスの影響により、海外出張、国内の施設調査、面談調査などについては、状況を見ながら必要に応じて計画を変更する。
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