研究実績の概要 |
当該年度は、研究成果としてインドネシアの仏像について学会発表を2回行った。第47回豊山教学大会(平成30年7月6日)、第69回日本印度學佛教學会学術大会(平成30年9月2日)。 特に、後者の発表では、ジャワ島中部地域のチャンディ・プラオサンの2つの祠堂に安置される石造菩薩像、各6躯(計12躯)について、持物等から尊名の比定を行い、従来の説に異を唱えた。すなわち、密教の八大菩薩のうち、除蓋障、虚空蔵を除いた六尊(南室・中央室・北室から順に文殊、地蔵、金剛手か、観音、普賢、弥勒)の菩薩像であると論述した。この成果をもとに、2つの祠堂の北に位置する北テラスの21躯(如来像9躯、菩薩像11躯、財宝尊1躯)の尊像群について、尊名比定を試み、文殊、地蔵、金剛手か、観音(2躯)、弥勒であると考察した。 こうした八大菩薩のうち、二尊を除いた六尊形式をとるグループが、2つの祠堂のグループを含め、少なくとも3つは存在していた可能性があることを指摘し、北テラスのグループは、2つの祠堂の尊像群と坐法等が異なることにも触れた。 また、これらの形式は、西インドのエローラ石窟、および東インドのウダヤギリ等の影響をうけていることを"On the Groups of Buddhist Statues Outside the temples in Candiplaosan, Central Java",邦題「中部ジャワ、チャンディ・プラオサン、祠堂外の仏像群について」,Journal of Indian and Buddhist Studies, Vol.67, No.3, March 2019.に掲載した。
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