研究課題/領域番号 |
18K00161
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
伊藤 奈保子 広島大学, 文学研究科, 准教授 (20452625)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インドネシア / 鋳造像 / 密教法具 / 三日月形頭光 / Makara / マカラ |
研究実績の概要 |
当該年度は、科学研究費による研究成果をもとに『改訂版インドネシアの宗教美術:鋳造像と法具の世界』法蔵館(2019年、9月)を出版した。また、学会発表を2回行い、学術論文雑誌に2編を掲載した。また、11月、アメリカのメトロポリタン美術館においてインドネシア、東南アジア、インドの仏教美術に関する調査を行った。 書籍は、少部数出版であった2007年3月の拙著に、その後の研究成果を加えて改訂版として出版した。インドネシアの7世紀~13世紀頃を中心に鋳造像(ヒンドゥー尊、仏教尊、密教尊、金剛部系尊の約1000躯と密教法具(金剛杵・金剛鈴(四種三昧耶形・八種三昧耶形)・ケツ等約600例の作例について分類、考察を行い、当地に初期、中期(金剛頂経系)の信仰の存在を導き出し、金剛鈴に『理趣広経』系の標幟が確認できたことから中期~後期密教の伝播を推察した。また法具の鈴杵一式がそろっている事から密教儀礼が行われた可能性も指摘した。 雑誌論文は、「インドネシアにおける三日月形頭光を有する尊像について」『史學研究』第305號広島史学研究会創立90周年記念号では、像の後頭部の三日月形を「三日月形頭光」と名付け、それが童子を意図し、文殊菩薩、財宝尊にみられることを論述した。Makara in Indonesia Focusing on Java and Sumatra, Journal of Indian And Buddhist Studies(Indogaku Bukkyogaku kenkyu)Vol.LXVⅢ No.3 〔151〕では、創造上の聖獣マカラについて、大別して①寺院の入口の門上下部の左右、②寺院の階段、一番下段の左右、③寺院の排水溝、④石像、鋳造像の光背の4か所に表現されることを論述した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年から体調不良となり、2019年3月~6月まで病気休暇となった。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により、当初計画していた2020年3月の海外調査が延期された。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度となるが、2020年3月の海外調査は新型コロナウィルス(COVID-19)の影響により2020年3月の海外調査が延期された。そのため事態収束次第、2020年9月、2021年3月の2回にわたり、海外調査を行い、資料収集を徹底し、研究成果を発表、論文として著してゆく予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用費は、新型コロナウィルス(COVID-19)が収束次第、海外調査旅費、及び資料収集、整理のための機器代、学生アルバイト代、及び雑費代などに充てる予定。
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