研究課題/領域番号 |
18K00161
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
伊藤 奈保子 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (20452625)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インドネシア / マレー半島 / シュリーヴィジャヤ |
研究実績の概要 |
当該年度は、コロナ禍により予定していた海外調査が行えない状態で、発表予定であった学会も開催がされず、この1年間は今まで収集した文献資料と欧米とインドネシアの現地撮影写真を整理してジャワ島の鋳造像と法具の形式をまとめ、改めてそれらの特徴を明らかにした。 また、2019年度に出版した書籍『改訂版インドネシアの宗教美術:鋳造像と法具の世界』の加筆修正と、英訳に専念し、来年度以降で出版を考えている。それにより、ほとんど知られていないイスラーム化以前におけるインドネシアの宗教美術の全体像を広く海外に知られることが可能となり、インドネシアと関連のある地域研究との総合的な研究の進展も期待できる。 また、スマトラの像に焦点を当て考察を行った。スマトラはジャワ島と比べ尊像が少ないが、それらの詳細を研究することにより、ある程度の特徴をみることができ、マレー半島やジャワ島との関連性を明らかにすることができる。特にパレンバン(Palembang)、コムリン河出土の弥勒菩薩像、ジャンビ遺蹟考古学史料館(Jumbi)の般若波羅蜜像、またグヌン・トゥア(Gunung Tua)出土の三尊形式像については詳細を確認し、それらを来年度に向けて発表、活字化してゆくことを目指すこととしたい。未解明であるスマトラの美術の特徴をある程度明らかにし、またマレー半島やジャワ島の尊像との比較を行うことで、イスラーム化以前、スマトラがジャワ島よりも関連性が強かったことをこれらから導き出し、また南インドの尊像との比較によりその影響も考察できるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に終了予定であった海外調査と成果報告の学会発表が行えなかったことで、1年間の延期となった。新型コロナウィルス(COVID-19)の影響によるものである。
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今後の研究の推進方策 |
マレー半島とスマトラの仏教美術のうち、スマトラで確認できる弥勒菩薩像、般若波羅蜜像、三尊形式像に焦点を当てて研究し発表予定。また、これらの伝播ルート考察のため、インドにおいて調査を行う予定であるが、COVID-19の影響を考慮し、インド調査を行えない場合、インドネシア、マレー半島の調査を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウィルス(COVID-19)の影響から、当初予定していた最終の海外調査が行えなくなったことによる。従って、次年度は海外調査、具体的には南インドおよびスリランカにおける遺蹟、博物館・美術館調査を行い、インドネシア、スマトラ、マレー半島の7~12世紀頃にかけての鋳造像、石造像の形式との比較を通して伝播ルートを考察することを考えている。ただしCOVID-19 のインドで調査が行えない場合は、マレー半島、インドネシアの調査を範囲にいれる。これらのための諸費用に使用する予定である。
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