インドネシアの中部ジャワ地域を中心とした仏教寺院の単独像およびレリーフを研究対象として密教に関連する総合的な考察を行い、それらを著書1冊『改訂版 インドネシアの宗教美術―鋳造像と法具の世界―』(320頁)、和文論文2編、英文論文4編に著した。密教の仏像のなかでも「八大菩薩」を形成するうちの文殊菩薩、弥勒菩薩をとりあげ、インドネシアの文殊菩薩の図像には童子形を意図する「三日月形」が頭部背後に表現されることをボロブドゥールやムンドットゥの寺院レリーフと単独像から確認した。またプラオサン寺院では「八大菩薩」のうちの二尊を除いた六尊形式であり、密教美術が8世紀頃には信仰されていた可能性を導き出した。
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