研究課題/領域番号 |
18K00162
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
本田 代志子 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (70713527)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生人形 / 安本亀八 |
研究実績の概要 |
コロナの影響により、2021年度に予定していた国内外の作品および資料の現地調査を実施することができなかったため、図書資料の収集につとめた。 主に、江戸末期から明治にかけての浅草寺の見世物興行の変遷について、浅草寺日記や公園の公的記録を収集し、興行主や演目、あわせて、これまで収集した資料の引札との照合を行った。見世物興行の実施伺いや期限延長申請の書類などから、全体像を把握することはできたが、人形師と演目については裏付けとなる他の資料が不足しており、特定できないものが多く残った。また、明治に入って、浅草公園となり申請書を提出する管轄が移行したため、今後は、以前に調査した東京都の公文書とのつながりを再度検証し、時代の変遷を捉えていきたい。 また、浅草寺日記の解読を進める中で、新門辰五郎が、地震や大嵐で破損した浅草寺の修繕に尽力していたこと、そのことによって境内に定小屋の所有を認められ、見世物興行の実施においても権限をもっていたことが明らかとなった。今回の調査の範囲内では、秋山平十郎関連が多く、松本喜三郎のものは数件にとどまっている。さらに安本亀八に関わるものがあるかどうか精査を進めていきたい。 ほかには、見世物の興行規模や入場者等の推移についても、浅草寺日記や新聞記事等で、情報を収集し、検討を重ねている段階であり、実態の解明には至っていない。あわせて、欧米における人形師の活動や、外国人コレクターの日本訪問や作品購入について、数名の新たな収集家が判明したが、作品内容やその後の状況などの詳細をたどることはできず、その位置づけについてははっきりとしていない。 以上のように、今年度は生人形の見世物興行と、浅草寺や浅草公園の運営との関連から、娯楽のありかたの変容を捉えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国内外の博物館、個人の所蔵者へ赴いての調査が、コロナの影響により実施できなかった。 そのため、以前より収集していた資料の解読および整理を進めたが、これも2年目となり、新たな側面から資料を収集する必要があると実感し、資料収集方針の再検討を行いながら進めた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの影響が残ると思われる前半の段階では、図書館資料やデジタルアーカイブの調査を主に行う。夏以降は、国内外の作品および資料の現地調査をできる限り行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響により、国内外での調査ができなかったため、主な使用計画であった旅費、成果報告のための予算の使用に至らなかった。使用計画は、前半は図書資料を中心に調査を進めるため、国内外からの書籍取り寄せや複写等への予算配分を想定している。コロナの状況が落ち着けば、9月~来年3月にかけて、国内外の調査を進めたいと考えているため、旅費の使用が中心となる予定である。
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