研究課題
基盤研究(C)
本研究は、明治期から昭和初期に建設された木造建築(近代木造建築)について、北海道沿岸部に建てられた鰊漁場建築、商家等に関する現地調査を行った。現地調査では、空間構成と木造架構の観点から実測図面を作成し、従来の学術的研究では把握されていない研究資料を得ることができた。また、石狩市の鰊漁場建築の調査では、木造架構の簡素化と独立柱の意匠性という視点を提示することができた。
デザイン学
本研究の成果は、建築学・地理学等の学術的研究では漁家・商家という異なる類型として研究されてきた対象に対し、近代木造建築という観点から空間構成や木造架構を相互に比較、検証する視点を提示した。また、文化財指定等では個々の建物として評価されてきた対象を、北海道の建築文化の総体として価値付ける視点の一端を示した。これは、文化的景観や北海道遺産などの政策に対しても基礎的な知見を提示するものといえる。