研究課題/領域番号 |
18K00178
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館 |
研究代表者 |
瀬谷 愛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 室長 (50555133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中世律宗 / 行基 / 粉河寺 |
研究実績の概要 |
3年目となる令和2年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、当初計画していた移動を伴う作品調査等が不可能となったため、コロナ下で実施可能な調査研究を行なった。 まず、中世律宗の聖地に関して、大阪・家原寺、奈良・竹林寺、喜光寺とその周辺を現地踏査した。奈良時代に東大寺大仏建立に尽力したことで知られる行基は、民衆布教や社会事業を広く行なったことが知られる高僧である。その誕生地に建つ家原寺、没地に建つ喜光寺、墓地である竹林寺には、行基の後継・復興者としての叡尊・忍性らとのつながりがみられる。研究代表者は中世律宗による関与を想定している絵画作品の制作背景を研究する上で、行基と中世律宗のつながりを重視しており、時代を超えて継承、発展される信仰と実践が絵画作品に結実した事例を調査中である。 また、在宅にて可能な調査研究として、過去の調査研究成果である作品画像の整理と分析、これまでの研究史と本研究課題における研究代表者の成果の整理を行なった。画像データの一部は特別展「国宝粉河寺縁起と粉河寺の歴史」(和歌山県立博物館、令和2年10月17日~11月23日)の図録にて活用された。また、一遍聖絵、聖徳太子二歳像、法隆寺東院舎利殿、文王呂尚図・商山四晧図屏風、広島・尾道浄土寺、広島・持光寺所蔵釈迦八相図など、本研究課題で取り組んできた研究について、暫定的総括としての論文執筆の準備を行なった。これら令和2年度の研究成果は、令和3年度中に刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大により、研究代表者自身の本務が多忙となり、移動自粛措置により予定していた作品調査等も度々中止となった。また、一身上の理由により一定期間、研究を行なうことが困難となったため、全般として研究が停滞した。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度への研究期間延長を予定しているが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、引き続き移動を伴う作品調査の実施は困難が予想される。今年度は流行が抑えられた時機に適宜必要最低限の調査を実施し、本研究課題の暫定的総括としての成果発表を優先する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内外の移動を伴う作品調査が困難になったため、令和2年度分を想定していた旅費等、人件費等を繰り越した。令和3年度には国内調査に関する旅費、調査補助等の人件費、成果発表のための諸経費として使用する。
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