研究課題
基盤研究(C)
レバノンをはじめとする地中海東部沿岸のローマ時代後期の遺跡は、十分調査されていない。本研究はヘレニズム様式からビザンティン様式への移行がどのようになされたのかを課題とした。古代末期の地下墓壁画の絵画様式について取り上げ、ヘレニズム美術様式が衰退したという観点からのみ捉えるのは一面に過ぎないという結論である。衰退というより東方伝統文化の復活という積極的意味があったと捉えるべきである。すなわちヘレニズムは唯一の古代的規範ではなく、在地の伝統と並ぶ二元論の一要素に過ぎない。
美術史
地中海東部沿岸のローマ時代後期の遺跡は、度重なる内戦で十分調査されていない。本研究は古代からビザンティンへの移行がどのようになされたのかを課題とした。古代末期の地下墓壁画の絵画様式について取り上げ、ヘレニズム美術様式が衰退したという観点からのみ捉えるのは一面に過ぎないという結論である。衰退というより東方伝統文化の復活という積極的意味があったと捉えるべきである。すなわちヘレニズムは唯一の古代的規範ではなく、在地の伝統と並ぶ二元論の一要素に過ぎないという点を明らかにしたことは意義深い。